キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2020年6月26日、現場作業をオフィスから映像と音声で遠隔支援できるクラウドサービス「VisualBrain(ビジュアルブレイン)」を発表した。2020年7月1日から提供する。現場作業者のiPhone(専用アプリを導入)とオフィスのWebブラウザをWebRTCでつなぎ、双方向でコミュニケーションできるようにする。価格(税別)は、月額8万円からで、初期費用は10万円から。販売目標は、VisualBrainを活用したサービスを合わせて2022年までに3億円。
VisualBrainは、現場作業をオフィスから映像と音声で遠隔支援できるクラウドサービスである(図1)。現場作業者のiPhoneが送ってくる映像と音声を、PC上のWebブラウザでリアルタイムに受け取ることができる。さらに、PCからもリアルタイムに音声をiPhoneに送ることができる。現場担当者と遠隔地にいる監督が映像と音声を共有することで、現場に赴くことなく遠隔業務を支援できる。
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低帯域の回線でも鮮明な映像を送れるように、2つの通信モードを実装している。回線状態がよく帯域が広い場合は、カクカクしない滑らかな映像配信ができる「ビデオモード」で動作する。一方、回線状態が悪く帯域が狭い場合は、画質を重視した「イメージモード」で動作する。これにより、高精細な視界を共有する必要がある業務に適応できる。
より高精細な画像が必要な場面に向けて、スマートフォン上で、双方向のコミュニケーション中でも写真を撮影できるようにしている。映像では分かりにくい、定規の目盛りや部品の凹凸なども、高精細な写真画像として保存できる。これにより、細かいコミュニケーションを行える。
保存した写真や動画データを2次活用できるように、他システムから連携するためのAPIを実装している。この上でさらに、個別開発によって、ユーザーの業務システムと保存済みデータをデータ連携させるシステム開発も請け負う。
オプションで、キヤノン製のモバイルカメラ「MM100-WS」も用意した。スマートフォンの内蔵カメラの代わりにモバイルカメラを使うことで、現場担当者はコミュニケーション中でも両手を利用した作業ができる。
なお、VisualBrainの技術面での特徴は、映像と音声の伝達するベース技術として、NTTコミュニケーションズのクラウドサービス「Enterprise Cloud WebRTC Platform SkyWay」(SkyWay)を利用したことである(関連記事:WebRTCの音声・ビデオ通話を録画・翻訳可能に、NTT Comのクラウドサービス)。HTML5規格に含まれる映像・音声通信の規格で、Web会議システムなどのリアルタイムなコミュニケーションを実現できる「WebRTC」(Web Real-Time Communication)の仕組みを使う。
キヤノンITソリューションズが想定するVisualBrainの主な利用シーンは、以下の通り。
- 生損保会社の遠隔地からの査定業務
- 高所等、危険個所における作業指示・監督
- 遠隔地からの作業指示・監督
- 機器故障対応、建設現場での進捗確認
- リアルタイム遠隔指導
- 薬剤師かかりつけ説明の支援