[調査・レポート]

テレワーク疲れ、売上減の理由、求めた支援策…国内企業のコロナ禍影響実態が判明─東京商工リサーチ

2020年7月15日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

東京商工リサーチは2020年7月14日、第6回「新型コロナウイルスに関するアンケート」の調査結果を発表した。2020年6月の「減収企業率」は81.6%で、2020年5月と比べて5.8ポイント改善した。テレワークは31.0%が継続、26.7%が取りやめという結果が判明。また、「新しい生活様式」については、約4割が業績にマイナスであると回答した。アンケートは同年6月29日~7月8日にインターネットで実施し、1万4602社から有効回答を得た。

 東京商工リサーチが、新型コロナウイルス(COVID-19)がビジネスに与えた影響を尋ねた企業調査の最新結果を発表した(有効回答数:1万4602社)。2020年6月の売上が前年同月(2019年6月)より落ち込んだ企業は81.6%であり、5月の87.4%からは5.8ポイント改善した。2020年内にひと月でも売上が前年同月比「50%以下」に落ち込む可能性が「ある」と回答した企業は31.2%で、前回調査から8.3ポイント改善した。ただし、6月の売上が半減した中小企業は12.3%に上る。

 在宅勤務やリモートワークを「現在、実施している」と回答した企業は31.0%にとどまった。「実施したが、現在は取りやめた」企業が26.7%いる。新しい生活様式が業績に与える影響については、「マイナスの影響」と回答した企業が39.0%(1万4356社中、5608社)で最多となったが、前回調査からは3.6ポイント減少した。

 アンケート調査の質問12項目と、主な結果は表1のとおりだ。

表1:アンケート調査の質問12個と、主な結果(出典:東京商工リサーチ)
  質問 主な結果
Q1 新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?(択一回答) 「すでに影響が出ている」が78.6%
Q2 国が示した「新しい生活様式」は、貴社の業績にどのような影響を及ぼしそうですか?(択一回答) 「マイナスの影響」は39.0%。前回調査から3.6ポイント減
Q3 貴社では、「新型コロナウイルス」の感染拡大を防ぐため、在宅勤務・リモートワークを実施していますか?(択一回答) 「現在も実施」が31.0%、「取りやめ」が26.7%
Q4 Q3で「現在、実施している」とご回答いただいた方にお伺いします。従業員の何割が実施していますか?(1~10の整数でご回答ください。) 半数が「5割以上」
Q5 Q3で「現在、実施している」と回答いただいた方に伺いします。在宅勤務・リモートワーク実施前と比較して、有給休暇の取得率は変化しましたか?(択一回答) 「増えた」、「減った」ともに約15%
Q6 Q5で「減った」と回答いただいた方に伺いします。減った理由は何ですか?(複数回答) 「生産性の低下」が8.4%
Q7 貴社の今年(2020年)6月の売上は前年同月を「100」とすると、どの程度でしたか? 減収が81.6%、5月比5.8ポイント改善
Q8 6月の売上が減少した方に伺います。最も大きい要因は何ですか?(択一回答) 「国内企業への売上減」が約6割
Q9 7月以降ひと月でも売上高が前年同月比で「50%以下」に落ち込む可能性はありますか?(2020年12月までを目途に回答ください)(択一回答) 「ある」は31.2%、前回より8.2ポイント改善
Q10 新型コロナウイルスに関連した、国や自治体、金融機関の各種支援策は利用しましたか?(択一回答) 中小企業の約半数が「利用した」
Q11 Q10で「利用した」と回答いただいた方に伺います。どんな支援策を利用しましたか?(複数回答) 「持続化給付金は」が48.6%
Q12 新型コロナウイルスに関連して、政府や自治体に望むことはありますか? (フリー回答)

78.6%は企業活動に新型コロナウイルスの影響が出ている

Q1:新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?(択一回答)

 Q1では、最多の回答が「現時点ですでに影響が出ている」で、78.6%(1万4602社中、1万1477社)だった(図1)。以下、「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」が18.0%(2631社)、「影響はない」が3.3%(494社)と続く。

図1:新型コロナウイルスによって企業活動に影響が出たかどうかを聞いた(出典:東京商工リサーチ)図1:新型コロナウイルスによって企業活動に影響が出たかどうかを聞いた(出典:東京商工リサーチ)
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 規模別では、「現時点ですでに影響が出ている」は、大企業(資本金1億円以上)では84.8%(2447社中、2077社)、中小企業(同1億円未満・個人企業など)では77.3%(1万2155社中、9400社)で、大企業が7.5ポイント上回った。「影響はない」と回答した大企業は2.4%(61社)で、中小企業は3.5%(433社)だった。

 産業別では、「すでに影響が出ている」の割合が最も高かったのは、運輸業の87.5%(578社中、506社)だった(表2)。外出自粛やインバウンドの減少、在宅勤務・リモートワークの実施、ネット通販の増加など生活様式の変化が大きな影響を与えている。宿泊業や旅行業、飲食業などが含まれるサービス業他は82.1%(2732社中、2244社)だった。

表2:業界別に見た、新型コロナウイルスの影響(出典:東京商工リサーチ)表2:業界別に見た、新型コロナウイルスの影響(出典:東京商工リサーチ)
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 規模別でみると、不動産業では「すでに影響が出ている」は大企業の91.0%(89社中、81社)に対し、中小企業は75.0%(296社中、222社)だった。一部では入居テナントの撤退や賃料の減額要請が発生していることに加え、「建設コストが高止まりする一方で可処分所得の低下が見込まるため、地方を中心に賃貸物件の新築が難しくなる」(不動産業者)との声もあり、影響は長期化する可能性を残している。

Q2:国が示した「新しい生活様式」は、貴社の業績にどのような影響を及ぼしそうですか?(択一回答)

 Q2では、「マイナスの影響」が39.0%(1万4356社中、5608社)となり、前回調査から3.6ポイント減少した(図2)。6月19日に都道府県をまたぐ移動自粛が解除されるなど、経済活動が段階的に再開されており、悲壮感が緩和された。一方、「プラスの影響」は3.9%(562社)にとどまり、前回調査から0.5ポイント低下した。「どちらともいえない」は57.0%(8186社)で、同4.0ポイント増加した。

図2:「新しい生活様式」が企業の業績に与える影響(出典:東京商工リサーチ)図2:「新しい生活様式」が企業の業績に与える影響(出典:東京商工リサーチ)
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 業種別で分析したところ、「マイナスの影響」の割合が最も高かったのは、「飲食店」の82.6%(98社中、81社)だった。以下、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「その他の生活関連サービス業」の72.7%(77社中、56社)、「宿泊業」の71.6%(60社中、43社)、「道路旅客運送業」の69.0%(42社中、29社)と続く。パチンコ店や劇場、映画館などを含む「娯楽業」は56.2%(80社中、45社)だった。

●Next:企業規模別の在宅勤務の実施率は? 売上げへの影響は?

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