富士通研究所は2020年11月9日、University of Toronto(トロント大学)と共同で、組み合わせ最適化問題を高速に解くアーキテクチャ「デジタルアニーラ」において、メガビット級の大規模問題に対応する新たな並列探索技術を開発したと発表した。実証では、多品種少量のサーバー生産スケジュールを決める問題に適用し、総ビット数101万4000ビットの条件で適切な人員割り当てに成功した。
富士通研究所は、組み合わせ最適化問題を高速に解くアーキテクチャ「デジタルアニーラ」で解決可能な問題の規模を拡大する新技術を開発した。富士通が提供しているデジタルアニーラ利用環境「FUJITSU Digital Annealer クラウドサービス」では現在、8192ビットのサービスを提供している。これを1M(100万)ビット級に高められる技術を開発した。
実証実験では、今回開発した技術を、多品種少量のサーバー生産スケジュールを決める問題に適用した(図1)。101万4000ビット(作業数100×作業者数13×設備数12×時間スロット数65)の条件で実証したところ、作業順序や設備利用時間に適切な人員が割り当てられており、1Mビット級の実用問題を求解できることを確認した。
拡大画像表示
背景について同社は、実社会において、1Mビット規模の大規模な組み合わせ最適化問題を解く需要が高まっている状況を挙げる。「製造分野では多品種少量生産、物流分野では全国規模の配送計画などである。これらを解くには1Mビット規模の組み合わせ最適化問題を解く必要があるが、従来の計算規模よりも計算量が増えるため、限られた時間の中で有効な解を得ることが困難だった」という(図2)。
富士通研究所は今後、今回開発した技術を、中分子の新薬開発、全国規模の輸配送計画、都市圏の交通渋滞の解消、ニューノーマル時代に適したワークシフト計画など、実社会の各種の大規模組み合わせ最適化問題に適用する。
●Next:デジタルアニーラで1Mbit規模の問題を解くために開発した技術
会員登録(無料)が必要です