一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2021年1月26日、「企業IT動向調査2021」(2020年度調査)の結果のうち、ワークスタイル変革とBCP(事業継続計画)に関する速報値を発表した。既存のBCPがコロナ禍で「十分機能した」という回答は15.0%に過ぎず、多くの企業では既存のBCPが機能しなかった。また、テレワーク(在宅勤務)で生産性が低下したと答えた企業は5割以下にとどまることがわかった。
JUASは、「企業IT動向調査2021」(2020年度調査)を実施し、ワークスタイル変革とBCP(事業継続計画)に関する速報値を発表した。調査期間は2020年9月11日~10月27日で、東証上場企業と東証上場企業に準じる企業4508社のIT部門長に調査依頼状を送付し、Web アンケートで1146社から回答を得た。
既存のBCPは新型コロナ禍で十分に機能しなかった
調査では、既存のBCP(事業継続計画)が新型コロナ禍で機能したかどうかを聞いた。「十分機能した」という回答は15.0%に過ぎなかった(図1)。多くの企業では、既存BCPが機能しなかった。
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BCPについて経営層から見直しの指示があったかどうかについても調べた(図2)。BCPが「おおむね機能したが、問題があった」と回答している企業の71.0%において、すでに見直しの指示が入っている、「十分機能した」と回答している企業の42.7%においても、見直しの指示が入っている。
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一方、「BCPがなかった」企業の70.6%は、BCPの見直しについて、特に指示がないという状況であり、経営層のBCPへの関心度のギャップが目立つ。
感染症に対するBCPの策定が進む、18.5%が策定中と回答
リスク別に分類したBCPの策定状況を、東日本大震災直後の2012年度の結果と比較した(図3)。BCPを策定している割合は、全体的に伸びている。特に「自然災害(2012年度は詳細に分けて聴取)」は、東日本大震災を経験して大きく伸びた。
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「疾病(新型コロナウイルス、新型インフルエンザ、デング熱等)」については、BCPを策定している割合は、38.0%から44.8%と6.8ポイントの増加にとどまっている。日本ではSARSやMERSでパンデミックが発生しなかったことが影響している。
今後は、「疾病(新型コロナウイルス、新型インフルエンザ、デング熱等)」においても、BCPの策定が進む。BCPを「策定中である」と回答したジャンルは「疾病(新型コロナウイルス、新型インフルエンザ、デング熱等)」がもっとも高く、18.5%である。
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