NECは2021年2月12日、チェコ気象庁からベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」を2020年9月に受注したと発表した。2020年12月に稼働を開始している。チェコ気象庁は、将来の気象災害を減らすことを目的に、高解像度での地域気候モデルの解析にSX-Aurora TSUBASAを使う。
チェコ気象庁は、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」を2020年9月にNECに発注し、2020年12月から稼働させている。将来の気象災害を減らすことを目的に、高解像度での地域気候モデルの解析にSX-Aurora TSUBASAを使う。
導入したシステムを使って、将来の気候とその変化が、どのように現れるかをシミュレーションする。例えば、将来の干ばつの頻度と大きさ、洪水や強風のような極端な気象現象の変化を予測する。将来的には、これらの気候変動の影響を緩和する適応策の検討に利用することを目指す。
ハードウェアを設置する際の工夫として、水冷(DLC)方式とサイドクーラー技術を組み合わせた。排熱がコンピュータルームに漏れないようにすることで、効率の高い冷却を実現した。これにより、空調設備を追加することなく、当初想定していたものよりも高い電力効率で稼働させている。
なお、SX-Aurora TSUBASAは、NECのベクトル型スーパーコンピュータ「SXシリーズ」の現行機である(関連記事:NEC、x86とベクトルプロセッサを組み合わせた新型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」、写真1)。特徴は、ベクトルプロセッサとメモリーを搭載したベクトル演算ユニット「ベクトルエンジン」を、PCI Express接続型の拡張カードの形状とし、汎用のx86サーバーに搭載して動作するようにしたこと。
ユーザーから見れば、Linuxが動作する通常のx86サーバーとして使える。アプリケーションも、x86向けに書かれたコードがそのまま利用できる。付属している専用のコンパイラ(Fortran、C、C++)を使って再コンパイルするだけで、ベクトルエンジン上で動作するアプリケーションが得られる。コンパイルしたプログラムを、丸ごとベクトルエンジン上で実行する仕組み。このため、ベクトルエンジンを使うためのコーディングは不要である。