IDC Japanは2021年4月15日、コンテナ仮想化技術とコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」の導入状況に関する調査結果を発表した。40.2%の企業がコンテナを本番環境で使用中もしくは導入構築・テスト・検証段階にあることがわかった。Kubernetesについてはコミュニティ版と商用版の使用状況などを調査している。
IDC Japanは2021年2月、国内の企業・組織420社を対象に、コンテナ仮想化技術(以下、コンテナ)とコンテナオーケストレーションツールのKubernetesの導入状況に関する調査を実施した。
図1は、コンテナの導入状況である。コンテナを本番環境で使用する企業は16.9%で、2020年調査から2.7ポイント上昇した。導入構築、テスト、検証段階にある企業は23.3%で、2020年調査から4.7ポイント上昇した。この2つを合わせた40.2%の企業がコンテナを導入済みもしくは導入準備中であることになる。IDC Japanは、「国内はコンテナの本格的な普及期に入った」と見ている。
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IDCによると、従来は、ITサービス企業がコンテナの導入を牽引してきたが、今回の調査で、サービス業、金融、製造など幅広い業種で導入が進んでいることが判明したという。「各種の企業が、デジタル変革を進める中でアプリケーションのクラウドネイティブ化に取り組んでおり、コンテナ環境の採用が進んでいる」(同社)
Kubernetesについては、使用している種類(ベンダー)を調査している。コミュニティ版のKubernetesが32.0%で最も使用率が高いが、2020年調査よりもその率は低下している。ベンダーのディストリビューションや、マネージド型のクラウドサービスの導入が依然として高い。
ユーザーがKubernetesの商用版を選択する理由としてIDCは、Kubernetesの導入・運用のしやすさや導入後のサポートを重視している点を挙げる。ベンダーのディスリビューションでは「Red Hat OpenShift Container Platform」、マネージドサービスでは「Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)」の使用率が高かった。
コンテナ/Kubernetes導入時の課題も調査した。「障害/問題発生時の対応策(32.5%)」の回答率が最も高く、「セキュリティ対策(30.2%)」「データ管理/統合(23.7%)」「モニタリング/パフォーマンス管理(23.1%)」が続く。IDCは、「コンテナ/Kubernetesはまだ運用実績が少ないため、障害やセキュリティに対してどのような対策を講じていくのかをしっかり検討していく必要がある」と指摘する。