スーパーコンピュータ処理性能ランキングのTOP500(www.top500.org)は2021年6月28日、最新ランキング(同年6月公開)を公開した。前回(2020年11月)と比べて、1位から4位までのベンチマーク値と順位には変動がなかった。1位は理化学研究所と富士通が開発した「富岳」で、LINPACKベンチマーク値は442.01PFLOPS(毎秒44京2010兆回)である。2位は米IBMの「Summit」で、LINPACK値は148.60PFLOPS(毎秒14京8600兆回)である。
スーパーコンピュータ処理性能ランキングの1つで、LINPACKベンチマークのTOP500を競う「TOP500」の最新版(2021年6月28日発表)において、理化学研究所と富士通が開発した「富岳」(写真1)が3期連続の1位となった。半年前の前回(2020年11月)と比べて、1位から4位までのベンチマーク値と順位には変動がなかった。
前回と同様、富岳のLINPACKベンチマーク値は442.01PFLOPS(ペタフロップス、442.01PFLOPSは毎秒44京2010兆回)で、2位の米IBMの「Summit」は148.60PFLOPS(毎秒14京8600兆回)と比べて約3倍の値である(画面1)。なお、富岳の前世代スパコンである「京」での測定結果である10.51PFLOPS(2011年11月時点)と比べると42倍以上である。
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今回リストに登録した富岳のシステムは、フルスペック(432筐体、15万8976ノード)で、前回(2020年11月)と同じ(関連記事:スパコン「富岳」が性能ランキングTOP500で連続1位、フルスペック構成で毎秒44京2010兆回計算)。
初めてTOP500で1位を取得した前々回(2020年6月)は、全体の約95.6%の構成(396筐体、15万2064ノード)だった(関連記事:理研・富士通のスパコン「富岳」が性能ランキングTOP500で1位)。
産業利用など用途が異なる4つの性能ランキングで3期連続1位
前回に続き、TOP500だけでなく、「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」の3つの性能ランキングでも世界1位を獲得した。
HPCGは、産業利用など実際のアプリケーションでよく用いられる共役勾配法の処理速度の国際的なランキングである。前回(2020年11月)と比べて、1位と2位のベンチマーク値と順位には変動がなかった。1位は富岳で16.00PFLOPS、2位はIBM Summitで2.93PFLOPSである。HPCGでの「京」の測定結果である0.603PFLOPS(2016年11月時点)と比べると26倍以上である。
HPL-AIは、ディープラーニング(深層学習)で主に用いられる単精度や半精度演算処理に関する性能ベンチマークである。1位の富岳は2.004EFLOPS(エクサフロップス)で、前回と同じ値である。2位のIBM Summitは、前回の0.55EFLOPSから1.15EFLOPSに向上している。
Graph500は、大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングである。富岳のベンチマーク値は前回(2020年11月)と同じ10万2955GTEPS(ギガテップス)で、最新版(2021年6月)のリストにおいても1位だという。最新版(2021年6月)のリストはGraph500 Committeeが2021年7月1日に発表する。
●Next:富岳のアーキテクチャ、商用機への展開は?
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