[市場動向]

スパコン「富岳」が性能ランキングTOP500で連続1位、フルスペック構成で毎秒44京2010兆回計算

電力あたり性能のGreen500はNVIDIAが1位、前回1位のPFNは2位に

2020年11月17日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

スーパーコンピュータ性能ランキング「TOP500(www.top500.org)」は2020年11月16日、最新ランキング(2020年11月公開)を公開した。1位は前回(2020年6月)に続き、理化学研究所と富士通が開発した「富岳」になった。LINPACKベンチマークで442.01PFLOPS(毎秒44京2010兆回)を達成した。一方、電力あたり性能のランキング「Green500」の1位はNDIVIAのGPU搭載機で、1ワットあたり26.195GFLOPS(毎秒261億9500万回)を達成。前回1位のPreferred Networksのディープラーニング(深層学習)用プロセッサ搭載機は2位だった。

 スーパーコンピュータの性能ランキングの1つで、LINPACKベンチマークのTOP500を競う「TOP500」の最新版(2020年11月17日発表)が発表された。

 同ランキングにおいて、理化学研究所と富士通が開発した「富岳」が世界1位となる442.01PFLOPS(ペタフロップス、毎秒44京2010兆回)を達成した(写真1)。

写真1:スーパーコンピュータ「富岳」の外観(開発・整備中)写真1:スーパーコンピュータ「富岳」の外観(開発・整備中)(出典:富士通)

 今回のTOP500ランキングにエントリーした富岳のシステムは、フルスペック(432筐体、15万8976ノード)構成である。これに対して、前回は全体の約95.6%の構成(396筐体、15万2064ノード)だった(関連記事理研・富士通のスパコン「富岳」が性能ランキングTOP500で1位)。

 フルスペック構成からたたき出した442.01PFLOPSの記録は、世界2位の「IBM Summit」(148.60PFLOPS)と比べて約3倍の値となる(画面1)。また、富岳の前モデルであるスパコン「京(けい)」での測定結果は10.51PFLOPS(2011年11月時点)だったため、今回、富岳は京と比較して42倍以上の性能を達成したことになる。

画面1:「TOP500」(2020年11月の最新ランキング)のWebサイト画面画面1:「TOP500」(2020年11月の最新ランキング)のWebサイト画面
拡大画像表示

産業利用など用途が異なる4つの性能ランキングで1位

 前回に続き、TOP500だけでなく、「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」の3つの性能ランキングでも世界1位を獲得した。

 HPCGは、産業で利用されている実際のアプリケーションでよく用いられる共役勾配法の処理速度による国際ランキングである。HPCGの測定には富岳のフルスペック構成(432筐体、15万8976ノード)を用い、16.00PFLOPSを達成した。2位のIBM Summit(2.93PFLOPS)と比べて約5.5倍の値となる。

 HPCGにおける京の測定結果は0.603PFLOPS(2016年11月時点)だったため、今回の富岳は京と比較して26倍以上の性能向上となっている。

 HPL-AIは、ディープラーニング(深層学習)で主に用いられる単精度や半精度演算処理に関する性能ベンチマークプログラムである。HPL-AIの測定には富岳のフルスペック構成(432筐体、15万8976ノード)を用い、2.004EFLOPS(エクサフロップス)を記録した。第2位のIBM Summit(0.55EFLOPS)と比べて約3.6倍の値となる。

 Graph500は、大規模グラフ解析に関するスパコンの国際性能ランキングである。Graph500の測定には富岳のフルスペック構成(432筐体、15万8976ノード)を用い、約2.2兆個の頂点と35.2兆個の枝で構成する超大規模グラフに対する幅優先探索問題を、調和平均0.34秒で解いた。Graph500のスコアは10万2955GTEPS(ギガテップス)で、2位の中国製スパコン「Sunway TaihuLight」(2万3756GTEPS)と比べて4倍以上の値になった。

ARMベースの汎用スーパーコンピュータ

 上述のとおり、富岳は、富士通と理研が開発した京の後継システムである。より幅広いユーザー層による利用を想定し、CPUには、これまでのSPARCに代わってArmアーキテクチャを採用している。京と同様、大容量データをメモリーからCPUに高速に転送できるように、高いメモリーバンド幅も確保している。

 富士通は、富岳の技術を活用した商用スパコン「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」および「同PRIMEHPC FX700」をグローバルで販売している(関連記事富士通、京後継「富岳」ベースの商用スパコン「PRIMEHPC FX1000」「同FX700」を販売)。

●Next:電力あたりの性能ランキング「Green500」の現在

この記事の続きをお読みいただくには、
会員登録(無料)が必要です
  • 1
  • 2
関連キーワード

TOP500 / 富岳 / 富士通 / 理化学研究所 / HPC / スーパーコンピュータ / Preferred Networks / NVIDIA / IBM / / Green500

関連記事

Special

-PR-

スパコン「富岳」が性能ランキングTOP500で連続1位、フルスペック構成で毎秒44京2010兆回計算スーパーコンピュータ性能ランキング「TOP500(www.top500.org)」は2020年11月16日、最新ランキング(2020年11月公開)を公開した。1位は前回(2020年6月)に続き、理化学研究所と富士通が開発した「富岳」になった。LINPACKベンチマークで442.01PFLOPS(毎秒44京2010兆回)を達成した。一方、電力あたり性能のランキング「Green500」の1位はNDIVIAのGPU搭載機で、1ワットあたり26.195GFLOPS(毎秒261億9500万回)を達成。前回1位のPreferred Networksのディープラーニング(深層学習)用プロセッサ搭載機は2位だった。

PAGE TOP