KDDIは2021年8月17日、ビルや都市空間のデジタルツインをスマートフォンで体験できるVR表現技術の実証実験を行ったと発表した。5GネットワークとAWS Wavelengthを活用し、低遅延かつ高精細な映像伝送が可能であることを確認した。今後は、建築物や都市空間の3Dデータを活用した事業の創出や、不動産業界などの各分野での活用を目指す。
KDDIは、2021年4月1日から同年8月17日にかけて、ビルや都市空間のデジタルツインをスマートフォンで体験できるVR表現技術の実証実験を行った。5GネットワークとAWS Wavelengthを活用し、低遅延かつ高精細な映像伝送が可能であることを確認した(写真1)。
拡大画像表示
実験では、大容量の3Dデータや高精細なグラフィックスで構成した「商業施設空間」「都市空間」「ライブコンサート空間」といった建築データを、仮想空間としてスマートフォン上で表示できるシステムを構築した。
3D空間は、AWS Wavelength上のGPUインスタンスを利用してサーバー側で描画する。サーバー上で実行しているソフトウェアをスマートフォンからリモート操作し、描画結果の映像を視聴端末に5Gでストリーミングする方式を採用した(図1)。
拡大画像表示
AWS Wavelengthは、モバイル通信端末に対して低遅延/超低遅延のアプリケーション/サービスの提供を可能にする事業者向けサービスである。モバイル通信事業者の設備内にAWSのリソースを設置し、これをAWS同様に使えるようにしている。KDDIは、AWS Wavelengthの提供基盤を同社東京データセンターに設置し、2020年12月から提供を開始している。また、2021年2月には同社大阪データセンターにも設置し、サービスを提供している(図2)。
拡大画像表示
3Dデータを再現する仕組みは、米Unity Technologiesのレンダリングパイプライン「High Definition Render Pipeline」(HDRP)を採用して実装した。
想定するユースケースとして、不動産業界のシミュレーション用途と現実世界に近いエンターテインメント体験の2つを挙げている。
●Next:2つの想定ユースケースの内容
会員登録(無料)が必要です