[新製品・サービス]
Google Cloudをオンプレミスで利用できるハード一体型製品「Google Distributed Cloud」
2021年10月14日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
グーグル・クラウド・ジャパンは2021年10月13日、説明会を開き、年次イベント「Google Cloud Next '21」の発表内容を紹介した。Google Cloudをオンプレミス環境で利用できるハードウェア一体型のサービス「Google Distributed Cloud」や、AWS/Microsoft Azureなどマルチクラウドのストレージに対応したデータ分析基盤「BigQuery Omni」などを紹介した。
グーグルがGoogle Cloud Next '21で発表した新サービスの1つが、Google Cloudをオンプレミス環境で利用できる「Google Distributed Cloud」である(図1)。コンテナ型アプリケーションをマルチクラウド環境で動作させられる管理基盤サービス「Anthos」をベースに、ハードウェアとセットにして導入しやすくした。
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2つのパッケージを用意した。「Google Distributed Cloud Edge」(2021年10月13日にプレビュー版を提供開始)は、低遅延のエッジ処理に向いたパッケージである。Google Cloudの通信業界向け製品をベースとしており、通信事業者のデータセンターや小売店、工場など、データが発生する場所に近いエッジロケーションに設置することを想定している。
一方の「Google Distributed Cloud Hosted」(2022年前半にプレビュー版を提供)は、Google Cloudとの接続を前提としない汎用のシステム基盤である。ユーザー企業のデータセンターに設置することを想定している。クラウド基盤の監視や設定などの運用管理作業を省力化・自動化する機能を備えている。
BigQueryに外部関数呼び出しや検索インデックスを追加
データウェアハウス(DWH)の「BigQuery」についても、いくつかの強化を施した。まず、AWS/Microsoft Azureなどマルチクラウドのストレージに対応した「BigQuery Omni」の一般提供を開始した(図2)。複数のクラウドにまたがってデータを分析するクロスクラウド分析ができる。例えば、AWS上のデータを集計してからGoogle Cloud上のデータとつなげて利用するといった使い方ができる。
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BigQueryで外部関数も使えるようにした(図3)。JavaScriptやSQLによるユーザー定義関数に加えて、Cloud Functionと呼ぶサーバーレス型の関数をBigQueryから呼び出せるようになる。BigQueryのSQLからCloud Functionを起動して、自然言語処理APIや翻訳APIの処理結果をBigQueryに取り込む、といった使い方ができる。同機能は、近日追加する予定である。
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セキュリティ監査のために大量のログから該当レコードを高速に検索するといった使い方を高速化するため、検索インデックスも新たに備えた(図4)。プレビュー版として提供を開始した。これと同時に、JSON型のデータもネイティブでサポートした。これにより、JSON形式のログを高速に検索できるようになった。
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BigQueryは元々、大きなデータに対して集計をかけるといった使い方が得意であり、大きなデータから1行だけを見つけるような用途には改善の余地があった。このユースケースを高速化するために検索インデックスを持てるようにした形である。
データ分析関連ではこのほか、分散型で利用できるリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の「Cloud Spanner」に、PostgreSQL互換インタフェースを追加した。プレビュー版として提供を開始した。PostgreSQLのスキルをそのまま活用してCloud Spannerを運用できるようになる。
データ分散処理エンジンのSparkをサーバーレス型で利用できる「Spark on Google Cloud」も用意し、プレビュー版の提供を開始した(図5)。サーバークラスタを作成したりサーバークラスタを管理したりすることなく、サーバーレスかつオートスケーリングでSparkを利用できる。数秒でSparkを開始でき、負荷に応じてクラスタの規模を拡張できる。
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