Preferred Networks(PFN)は2022年7月28日、汎用配列計算ライブラリ「CuPy(クーパイ)」 のメジャーアップデート版「v11」をリリースした。オープンソースのPython言語向けライブラリであり、GPUを使った行列計算が容易になる。新版では、疎行列の効率的な表現形式を追加し、1台のGPUで計算しきれなかった疎行列をマルチノード/マルチGPU環境で分散して計算しやすくした。また、ArmプロセッサとNVIDIA GPUを組み合わせた環境に対応した。
Preferred Networks(PFN)の「CuPy(クーパイ)」(図1)は、Python言語向けにオープンソースソフトウェアとして提供している汎用の配列計算ライブラリである。特徴は、NVIDIA GPUのCUDAライブラリをPythonから使えること。NVIDIA GPU環境下において、他の計算ライブラリ(NumPy、SciPyなど)よりも高速に計算する。
図1:汎用配列計算ライブラリ「CuPy(クーパイ)」 のロゴ(出典:Preferred Networks) 新版では、疎行列(要素のほとんどがゼロであるような行列)の分散処理機能を追加した。集合通信やデータ転送を行うモジュールにおいて、疎行列の効率的な表現形式を扱えるようにした。これにより、1台のGPUで計算しきれなかった疎行列をマルチノード・マルチGPU環境で分散して計算することが容易になった。
また、Arm SBSA(Server Base System Architecture)版CUDAをサポートした。Armプロセッサを搭載したサーバーとNVIDIA GPUを組み合わせた環境(より低価格なサーバーリソース)で使えるようになった。Arm環境向けではさらに、Armベースの組み込み用途向けコンピュータであるNVIDIA JetsonのSDK(ソフトウェア開発キット)新版「JetPack 5」もCupyのサポート対象に加えた。
このほか、汎用計算ライブラリであるNumPyおよびSciPyとの互換APIを96件追加し、それらとの相互運用性が向上している。NumPy/SciPy向けに記述したコードの多くをCupyで利用できるようになった。
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