日立製作所は2022年8月4日、AI映像監視・警備システム「Hitachi Multifeature Video Search(MVS)」に2つの機能を追加した。MVSは、AIを用いた映像解析によって、監視・警備業務を高度化するシステム。今回、人物の異常行動を発見する「行動検知機能」と、荷物と人物の所有関係を認識する「荷物置き去り/持ち去り検知機能」を追加した。
日立製作所の「Hitachi Multifeature Video Search(MVS)」は、AIを用いた映像解析によって、監視・警備業務を高度化するシステムである。全身の特徴から検索対象の人物を高速に発見・追跡する。人物だけでなく、車両や荷物などの発見・追跡にも対応する。
今回、2つの機能を追加した。防犯カメラの映像から、特定の行動パターンをとる人物をリアルタイムで検知する「行動検知機能」と、荷物と人物の所有関係を認識する「荷物置き去り/持ち去り検知機能」である。公共空間での喧嘩などのトラブル、置き引きや不審物などの事象を発見可能になった(図1)。
拡大画像表示
行動検知機能(写真1)は、人物の異常行動を発見する。MVSに取り込んだ映像から人物の骨格情報を読み取り、骨格の動きを元に、人物がどのような行動をとっているかを解析して、アラートを発報する。骨格の形状や各関節点の動きの変化などの情報を用いることで、対象人物の向きや背景、服装などによる見え方の違いの影響を軽減する。
9種類の特定行動(走る、しゃがむ、倒れる、蹴る、殴る、指をさす、見回す、立つ、歩く)の検知に対応する。「殴る」「蹴る」といった暴力行為をしている人物や、周囲を「見回す」動作を続けている不審人物、迷子の子供などを早期に発見できるとしていつ。また、骨格の情報をAIに学習させることで、9種類以外の行動を検知することも可能である。
もう1つの荷物置き去り/持ち去り検知機能(写真2)は、荷物と人物の所有関係を認識する。MVSに取り込んだ映像から、荷物の置き去りや持ち去りを検知し、アラートを発報する。荷物と人物の所有関係を紐付けて認識することで、置き去り前後の移動経路や行動把握、荷物を持ち去った人物を追跡する。従来は荷物の所有関係を人と荷物との距離で判定していたが、今回の機能では「キャリーケースを掴んでいる」「リュックを背負っている」など、荷物所有時の画像上の特徴を合わせて学習して高精度に判定するとしている。
●Next:甲子園球場で実施したMVSの実証実験の結果
会員登録(無料)が必要です