[調査・レポート]

「なんで学ぶの?」の層が4割、社会人の学習/リスキリングの現状と課題─ベネッセ調査

企業内のリスキリングはDXや業務デジタル化を目的に増加中

2022年8月8日(月)神 幸葉(IT Leaders編集部)

ベネッセコーポレーションは2022年8月4日、社会人の学習、リスキリング(再学習、能力の再開発)に関する調査レポート「社会人の学びに関する意識調査2022」の結果を発表した。同調査では、回答者の4割が、社会人になって学習したことがなく、これからも学びたいと思わない「なんで学ぶの層」にカテゴライズされることがわかった。一方、同社が企業向けに提供するオンライン学習サービス「Udemy Business」の受講状況から、デジタルトランスフォーメーション(DX)や業務のデジタル化を目的に、業界ごとに教育/リスキリングの取り組みが活発になっていることが判明した。

国内労働人口に換算すると約2800万人が「なんで学ぶの層」に

 2022年6月に、国や地方自治体、企業・団体から構成する「日本リスキリングコンソーシアム」が発足するなど、社会人の学習、教育/リスキリングが注目を集めている(関連記事グーグルなど49団体が「日本リスキリングコンソーシアム」発足、“イノベーション人材”50万人育成を目指す注1)。今回、ベネッセコーポレーションが発表した「社会人の学びに関する意識調査2022」は、「社会人になって学ぶこと」についての実態を明らかにするものだ。

注1:2022年8月現在、日本リスキリングコンソーシアム参加団体は63団体

 調査は、学生を除く国内18~64歳の社会人3万5508人を対象に、2022年3月18日~22日の期間にWebで実施。合わせて、同社が企業向けに販売するオンライン動画学習サービス「Udemy Business」を用いて、リスキリングに取り組む国内企業800社の受講状況についても報告している。

 ベネッセは今回の調査にあたって、学習経験の有無と学習意欲の有無を掛け合わせた4つのセグメントに分類している。学習経験/意欲は、2022年3月に同社が実施した「社会人の学びに関する意識調査2022」を基に、直近1年以内/1年以上前に学習したことがあるか、今後1年以内に何かを学習したいと思うかの回答結果を基にしている。セグメントごとの結果は次のようになった。

●「なんで学ぶの層」(社会人になって学習したことがなく、これからも学びたいと思わない):41.3%
●「学んでいます層」(社会人になって学習したことがあり、これからも学びたいと思う):33.6%
●「学ぶつもり層」(社会人になって学習したことはないが、これから学びたいと思う):13.5%
●「学ぶの疲れた層」(社会人になって学習したことがあるが、これからは学びたいと思わない):11.5%

 ベネッセはこの結果を、総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の概要」を基に、国内の労働人口を約6800万人として、同社の調査結果に当てはめて推計値を算出。国内の約2800万人が「なんで学ぶの層」に該当するとしている(図1)。

図1:社会人学習者セグメントマップ(出典:ベネッセコーポレーション)
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 調査では「学習意向」と「仕事への意識」には関連性が見られることが判明した。学習意欲別に比較すると、特に「特定の分野の専門性を磨きたい」「新しい仕事に挑戦し続けたい」「仕事を通して成長し続けたい」といった項目で意識の違いが見られた(図2)。このことから同社は、「社会人の学びの促進において、仕事やキャリアアップへの意欲喚起も重要」と指摘している。

図2:仕事・働き方の意識(出典:ベネッセコーポレーション)
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 「なんで学ぶの層」が「学ぶのに必要なきっかけ」になることは何かを尋ねた設問では、上位から順に、「仕事で必要になる」(37.5%)、「お金に余裕ができる」(36.3%)、「達成したい目的がみつかる」(30.3%)、「時間ができる」(28.9%)、「職場から求められる」(22.2%)だった(図3)。この結果について同社は、国内のリスキリング推進には、企業や組織が一体となったアプローチが有効なことがうかがえるとしている。

図3:学習のきっかけとなり得るもの(出典:ベネッセコーポレーション)
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●Next:2022年上半期リスキリングの人気講座は

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