[市場動向]
Web会議の体感品質を維持したままデータ通信量を削減する「Mintent」─NTTとNTTコムウェア
2022年8月31日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
NTTとNTTコムウェアは2022年8月30日、エンドユーザーの体感品質を維持したままデータ通信量を削減する技術「Mintent」を確立したと発表した。エンドユーザーなどがサービスに求める要件(インテント)がサービスごとに異なることに注目した。実験では、同技術をWeb会議サービスに組み込み、Web会議の映像や音声の体感品質を保ちながらデータ通信量を最大63%低減できることを確認したとしている。NTTコムウェアは、同技術を資料共有型のWeb会議サービス「letaria」に組み込み、商用サービスとして2022年8月3日に提供を開始した。
NTTとNTTコムウェアは、エンドユーザーの体感品質を維持したままデータ通信量を削減する技術「Mintent」を確立した(図1)。エンドユーザーなどがサービスに求める要件(インテント)がサービスごとに異なることに注目した。例えば、Web会議サービス利用者の要件は「途切れにくいWeb会議」である。
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実験では、MintentをWeb会議サービスに組み込むことで、Web会議の映像や音声の体感品質を保ちながら、データ通信量を最大63%削減できることを確認した。NTTコムウェアは、Mintentを同社のWeb会議サービス「letaria」に組み込み、2022年8月3日に提供を開始した。
途切れにくいWeb会議を実現するにあたっては、それぞれのエンドユーザーの数十秒程度将来の体感品質が適正品質を満たすための送信映像データ通信量を、Web会議サーバーから得られるビットレートなどの映像情報から計算した。こうして、エンドユーザーの端末に指示した。
これに対して、従来のWeb会議サービスは、エンドユーザーの端末が高いスループットの高速回線に接続した場合などには、映像品質を高めようとして、過剰なデータ通信量で映像を送信する。このため、Web会議が途切れてしまうなどの問題が発生していた。
実験の詳細は、以下の通りである。
Mintentを組み込んだletariaを利用するPC×2台、スマートフォン1台でWeb会議を実施し、体感品質とデータ通信量を計測した。この結果、端末ごとの体感品質(5段階品質尺度に基づいた体感品質)の平均値は、Mintentを使わない場合よりも低くなったものの、適性品質(3.5)を超えた(図2)。
一方で、端末ごとのデータ通信量の平均値はMintentを使わない場合と比べて63%減った(図3)。