プライム・ストラテジーは2022年9月2日、Webシステム実行環境「KUSANAGI」において、ミドルウェアの稼働環境を拡充した。現行のKUSANAGI 8(CentOS 7)とKUSANAGI 9(CentOS Stream 8)に加えて、新たにKUSANAGI 9(AlmaLinux OS 8)の組み合わせに対応する。AlmaLinuxはCentOSと同様にRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のクローンOSで、サポートが終了するCentOSの代替OSとして利用できる。
プライム・ストラテジーの「KUSANAGI」は、Webシステムのバックエンドシステムを高速に動作させるための実行環境である。LinuxとWebサーバー(Nginx、Apache)を中核に、言語、データベース管理システム、CMS(コンテンツ管理システム)などをパッケージ化している。CMS「WordPress」を高速化する用途で使うユーザーが多いが、業務アプリケーションを含めた任意のWebシステムを高速化可能である(関連記事:Webシステム実行環境「KUSANAGI」に最上位版、Web高速化エンジンを標準搭載)。
Webシステムを構成するミドルウェア一式を、Linuxを含めた仮想マシンイメージ、またはDockerコンテナイメージの形態で提供している。仮想マシンイメージはクラウドサービスでも提供しており、クラウドベンダーのマーケットプレース、または提携クラウドベンダーの管理コンソールから導入可能。KUSANAGIを利用可能なクラウドサービスは数十社ある。
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今回、KUSANAGIの対応ミドルウェア稼働環境を拡充した。現行の「KUSANAGI 8」(CentOS 7)と「KUSANAGI 9」(CentOS Stream 8)に加えて、新たにAlmaLinux OS 8版のKUSANAGI 9を選べるようにした(図1)。
AlmaLinuxは、CentOSと同様、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のクローンOS(RHELのリビルド)で、CentOSを代替するOSの1つ。AlmaLinux版のメリットは、サポート期間が長いことである。CentOSの開発プロジェクトは終了済みで、CentOS 7のサポートも2024年6月に終了するが、AlmaLinux 8のサポートは2029年まで続く。2022年5月には、次期版であるAlmaLinux 9も公開している。
AlmaLinux版のKUSANAGIは、サポート期間の長さを重要視する企業システム用途を想定している。当面、無料版は用意せず、有料版の「Business Edition」と「Premium Edition」を提供する。また、Microsoft AzureとAmazon Web Services(AWS)の両パブリッククラウド経由での提供を優先する。
なお、OSの選択肢の1つであるCentOS Streamは、RHELのベータ版に相当する。CentOSやAlmaLinuxはRHELのソースコードをリビルドしたOSだが、CentOS StreamはRHELの開発ベースであり、最新機能を試せるメリットがあるが、リリーススケジュールが定まっていないなど、安定性を求める企業用途とは異なる。
プライム・ストラテジーは今後、次期OSであるCentOS Stream 9とAlmaLinuix 9への対応を進める。さらに、有料版においてGUI管理コンソールを提供する。