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NEC、ベクトルスパコン新機種「SX-Aurora TSUBASA C401-8」、処理性能が2.5倍に
2022年10月7日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)
NECは2022年10月7日、ベクトル型スーパーコンピュータシステム「SX-Aurora TSUBASA」の新モデル「SX-Aurora TSUBASA C401-8」を発表した。2023年3月31日から出荷する。CPUコア数を既存モデル「同B401-8」の10から16に増やし、L3キャッシュを新たに搭載したことで、処理性能が2.5倍に向上している。価格(税別)は最小構成(12台、ベクトルエンジン96個)で2億500万円。販売目標として2024年度までに100億円を掲げる。
NECの「SX-Aurora TSUBASA」は、同社のベクトル型スーパーコンピュータ「SXシリーズ」の現行製品である。ベクトルプロセッサとメモリーを搭載したベクトル演算ユニット「ベクトルエンジン(VE)」を、PCI Express接続型の拡張カードとして汎用のx86サーバーに搭載・動作するようにしている(関連記事:NEC、x86とベクトルプロセッサを組み合わせた新型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」)。今回、2023年3月31日に出荷する新モデル「SX-Aurora TSUBASA C401-8」を発表した(写真1)。
SX-Aurora TSUBASAは、一般ユーザーが通常のLinux x86サーバーとして運用可能である。アプリケーションも、x86向けに書かれたコードをそのまま利用できる。付属の専用コンパイラ(C/C++、Fortran)で再コンパイルすることで、ベクトルエンジンを使うための専用のコーディングを行わずとも、アプリケーションをベクトルエンジン上で動作させることが可能だ。
現行モデルは、2020年6月に発表した「SX-Aurora TSUBASA B401-8」である(関連記事:NEC、ベクトル型スパコン新機種「SX-Aurora TSUBASA B401-8」、水冷で実装密度を2倍に)。新モデルのC401-8は、CPUコア数を現行モデルの10から16に増やし、さらにL3キャッシュを新たに搭載し、従来モデルに比べて処理性能を2.5倍に高速化した。
また、最新のHBM2Eメモリーを採用することで、従来モデルに比べてメモリーバンド幅を1.6倍に、メモリー容量を2倍に強化した。電力効率も高めた。設計プロセスを変えたことで、電力効率を従来モデル比で2倍に高めた。
東北大が21PFLOPSのベクトルスパコンを2023年8月から運用
先行して、東北大学サイバーサイエンスセンターが2023年8月から新モデルを運用する予定である。合計4032個のVEで構成し、総理論演算性能は約21PFLOPS(ペタフロップス)で、ベクトル型スパコンシステムとしては世界最高性能になるという。
東北大学サイバーサイエンスセンターは1986年に「SX-1」を導入以来、SXシリーズを利用している。2020年10月からは、現行モデルのB401-8(VEは576個で、総理論演算性能は約1.77PFLOPS)を運用している。また、ドイツ気象庁も、天気予報システムの増強を目的に、2023年9月に新モデルのC401-8を導入する予定だという。