日立製作所は2022年10月11日、UNIXサーバー「EP8000」のミッドレンジモデル「EP8000 E1050」およびエントリーモデル「EP8000 S1024/S1014」を発表した。OSとして米IBMのAIXが動作するPowerプロセッサ搭載サーバーである。CPUに現行CPU「Power10」を搭載し、従来モデル(CPUはPower 9)と比べて性能が向上した。出荷開始は、ミッドレンジモデルが2023年3月31日、エントリーモデルが2023年6月30日。
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日立製作所の「EP8000シリーズ」は、OSとして米IBMのAIXが動作する、Powerプロセッサ搭載のUNIXサーバー。可用性を高めるミドルウェアやストレージ、長期保守サポートなどによって、基幹業務や社会インフラ向けシステムの安定稼働を支援している。日立は、金融機関をはじめとする企業の基幹業務や鉄道、電力などの社会インフラ向けシステムで多くの稼働実績があることをアピールしている(写真1)。
今回、ミッドレンジモデルの新モデル「EP8000 E1050」(従来モデルは「E870」)およびエントリーモデルの新モデル「EP8000 S1024/S1014」(従来モデルは「S824/S914」)を発表した(表1)。従来モデル(CPU:IBM Power9プロセッサ)から見てCPUの世代を高めており、現行のPower10を搭載している。これにより、メモリー暗号化の性能が向上したほか、エネルギー効率が向上したとしている(関連記事:米IBM、Powerサーバーシリーズに最新のPower 10プロセッサを搭載)。
例えば、ミッドレンジモデルのEP8000 E1050は、従来モデル比で処理性能を1.2倍に向上させた。また、プロセッサとメモリーを高密度に集約したことで、従来モデルではCPUドロア(サーバー筐体)2台構成で得られた性能が、1台のCPUドロアで得られるなど、省スペース化を実現した。信頼性の面では、予備のDRAMチップを備えた交替メモリチップ機能をミッドレンジモデルとして新たにサポートし、メモリー障害発生時も業務を継続できるようにした。
Power10搭載モデルの特徴の1つは、セキュリティを強化してもシステム性能への影響が少なくなるようにしたこと。メモリーの暗号化をPower9比で2.5倍に高速化した。さらに、プロテクトメモリーの内容が別のプロセスから読み出せてしまうといった、投機的実行に関する脆弱性への攻撃を緩和する機能について、Power9よりも性能を向上させた。Power10では、マシンラーニング(機械学習)で必要な行列演算をGPUを使わずに高速に実行するAIエンジンも搭載した。業務アプリケーションを動作させつつ、同一サーバー上でAIを活用したデータ分析も可能になった。
なお、Power10搭載モデルとしてはこれまで、ハイエンドモデル「EP8000 E1080」を販売してきたが、2022年8月に販売を完了している(関連記事:日立、UNIXサーバーEP8000に最上位機種「E1080」、Power10を搭載)。
名称 | 概要 | 価格(税別) | 出荷開始予定日 |
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EP8000 E1050 (ミッドレンジモデル) |
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5337万1000円から | 2023年3月31日 |
EP8000 S1024 (エントリーモデル) |
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1780万8500円から | 2023年6月30日 |
EP8000 S1014 (エントリーモデル) |
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ラックマウントタイプ:1284万900円から タワータイプ:843万3500円から |