[事例ニュース]

トーマツ、専門文書から監査に必要な情報を抽出するAIを開発、自社の監査業務に適用

まずは不動産リース契約書の監査業務に適用

2022年10月18日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

有限責任監査法人トーマツは2022年10月17日、AIで自社の監査業務を効率化したと発表した。専門文書から監査に必要な情報を特定・抽出し、これを視覚的に表示するAIツール「Audit Suite Text Reviewer」(AS Text Reviewer)を開発し、2022年9月から順次導入している。専門文書と公認会計士の検討ノウハウをAIに学習させたとしている。

 トーマツは、AIで自社の監査業務を効率化した。専門文書から監査に必要な情報を特定・抽出し、これを視覚的に表示するAIツール(AS Text Reviewer)を開発し、2022年9月から順次現場に導入している。専門文書と公認会計士の検討ノウハウをAIに学習させたとしている(図1)。

図1:専門文書から監査に必要な情報を抽出するAIを開発し、監査業務で利用を開始した(出典:トーマツ)

 トーマツによると、公認会計士などの専門家は監査の過程で各種契約書の専門文書を熟読し、取引の内容などを把握する。さらに、会計・監査に影響する重要な項目を漏れなく特定するなどして会計処理の検討や、監査上の判断を行っている。「重要な項目は多岐にわたることが多く、会計基準ごとに視点も異なる。こうした経緯から、複雑かつ長文の契約書から必要な情報を漏れなく識別するには、知識と経験が求められる」(トーマツ)。

 開発したAIツール「AS Text Reviewer」は、AIと自然言語処理技術と光学文字認識技術(OCR)を組み合わせたシステムである。経験年数に関わらず、熟練者の水準で文書を検討可能になるとしている(図2)。

図2:専門文書から監査に必要な情報を抽出して一覧表示している画面(出典:トーマツ)
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 最大で3つの文書を横並びで比較し、相違点を視覚的に一覧化する機能も持つ。例えば、監査先企業に提出する重要な文書をレビューする際に、「作成中のドラフト」が「最新のひな形」をもとに「前期の内容」を引き継ぎつつ、「当期に必要な更新」が漏れなく正確に反映されているかを容易に検証できる。

 最初のフェーズとして、「リース取引に関する会計基準」の今後の改定を見据え、不動産リース契約書のAI情報抽出機能を搭載した。リース料やリース期間などの会計処理に影響する記述を中心に、25項目を自動的に抽出し、該当箇所をハイライトして一覧化する。今後は、流動化取引やM&Aなど、より高度な専門性を要求する領域の文書に対するAI情報抽出機能を順次開発する予定である。

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