[調査・レポート]
日経225企業の55.1%がなりすましメール対策に「DMARC」を導入─TwoFive調査
2022年11月10日(木)IT Leaders編集部
TwoFiveは2022年11月10日、なりすましメール対策に用いる送信ドメイン認証技術「DMARC」の対応(導入)状況を調査した結果を発表した。今回の調査(同年8月、10月、11月実施)では、日経225企業のうち124社(55.1%)がメール送信者側としてのDMARC対応を行っていた。前回調査(同年2月、5月実施)の112社(49.8%)と比べて、半年で5.3%増えた。
メールセキュリティベンダーのTwoFiveは、なりすましメール対策に用いる送信ドメイン認証技術「DMARC」の対応(導入)状況を調査した。今回の調査(同年8月、10月、11月実施)では、日経225企業のうち124社(55.1%)が、メール送信者側としてのDMARC対応を行っていた(図1)。前回調査(同年2月、5月実施)の112社(49.8%)と比べて、半年で5.3%増えた(関連記事:日経225企業の半数がなりすましメール対策に「DMARC」を導入─TwoFive調査)。
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日経225企業が管理・運用する5047ドメインを対象に、DNSレコードを調査した。DNSレコードから、(1)DMARCを導入しているか、(2)DMARCのポリシー設定状況(none:何もしないで受け取る、quarantine:隔離、reject:拒否)、(3)DMARCレポート先(ruaタグ、rufタグ)の指定状況、の3つの項目を調べた。今回はさらに、日経225だけでなく、金融、流通、製造にフォーカスし、証券コードを付与した企業に対象を広げて調べた(金融715ドメイン、流通3115ドメイン、製造6546ドメイン)。
なお、DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance、ディーマーク)は、メールのなりすまし対策に利用する送信ドメイン認証の仕組み(RFC 7489)。メールサーバーをIPアドレスで判定するSPF(Sender Policy Framework)と、電子署名で判定するDKIM(DomainKeys Identified Mail)という2つの送信ドメイン認証技術を利用する。2つの認証技術の結果を基に、認証に失敗したメールのアクセス制御を行い、認証結果をメール送信者と共有する(関連記事:TwoFive、なりすましメール可視化サービス「DMARC/25」を強化、メールを送信した企業に通報可能に)。
日経225企業の55.1%がDMARCを導入
11月に実施した調査では、日経225社の124社(55.1%)が、メール送信者側としてのDMARC対応を施していた。5月調査の112社(49.8%)と比べると、半年で12社(5.3%)増えた。ドメイン数では、11月時点で全5047ドメインのうち932ドメイン(18.4%)がDMARCを導入していた(5月の調査から276ドメイン、6.3%増えた)。
なりすましと判定した場合にどう取り扱うかを指示するDMARCポリシーについては、none(何もしないで受け取る)の増加が顕著であるのに対し、強制力を持つポリシーであるquarantine(隔離)やreject(拒否)の増加は緩やかである(図2)。これにより、強制力を持つポリシーの比率は、5月調査の33.5%から11月調査の30.6%へと下がっている。
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DMARC導入後の運用で重要となる、DMARCレポートを受け取る設定(ruaタグ、rufタグ)については、いずれも未設定が多いため、これらを設定しているドメインの割合は減少している(図3、図4)。DMARC集約レポートを受け取るruaタグの設定率は、5月調査の86.3%から11月調査では66.0%へと減っている。DMARC失敗レポートを受け取るrufタグの設定率は、5月調査の39.2%から11月調査では26.7%へと減っている。
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調査対象を日経225以外にも拡大した場合、DMARCの導入率は、日経225企業だけの結果(11月調査の55.1%)よりも低い。金融では25.7%、流通では14.5%、製造では20.3%である。また、強制力のあるポリシー(p=quarantine、reject)の比率は、金融、流通、製造の平均で29.2%であり、日経225の平均(30.6%)とほぼ同等ながら若干低い(図5)。
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