インフラストラクチャ、ネットワーク、アプリケーション…どの層をとっても複雑化する一方の状況下にあって、障害対応やエクスペリエンス改革もまた難しさを増している。ここに「ユニファイドオブザーバビリティ(統一された可観測性)」という新機軸で臨んでいるのがリバーベッドだ。その考え方や具体的ソリューションとは──。
今や、顧客向けサービスにしても社内での日常業務にしても、“デジタル”が深く関わっている。技術進化の追い風を受けて“エクスペリエンス”はますます快適なものとなっているだけに、突如としてパフォーマンス劣化に見舞われた時の影響は多大だ。消費者は購買意欲をそがれたり、従業員は労働意欲をそがれたりでフラストレーションを募らせるばかり。それが大きなビジネスロスにつながることは自明だ。
インフラやアプリケーションが常に安定した性能を発揮するのが理想だが、それが簡単ではないことを読者諸氏は肌身で知っていることだろう。だからこそ、いざという時に速やかに原因を特定して復旧できる体制を整えておくことが重要だ。デジタルによるビジネスの創造や革新に躍起になっている企業ほど、問題意識を持って取り組みを始めている。
そんな状況下でにわかに耳目を集めるようになったキーワードが「オブザーバビリティ(可観測性)」だ。ログやメトリクスなど、さまざまな出力データからシステム内部の状況を推測しようとの試みを指し示し、実際に専用ツールも出始めている。もっとも、その大半は、特にDevOpsやSRE(Site Reliability Engineering)、クラウドネイティブ環境 、APM(Application Performance Management)などのユースケースを念頭に設計されており、取り扱うのは、ごく限られたデータやサンプル抽出されたデータ。IT環境に関する完全な情報、コンテキストを加味した実用的な知見といった観点では、物足りないのが実情だった。
ここで、さらに先をゆく「ユニファイドオブザーバビリティ(統一された可観測性)」を提唱しているのがリバーベッドだ。アプリケーションの体感性能が悪化している元凶を、PC/サーバー/ネットワークなど多岐にわたる観測データの相関分析によって浮き彫りにしようとのアプローチが期待と注目を集める。WAN高速化ソリューション「Steelhead」で確固とした地歩を築いた同社が今、もう一つの事業の柱として力を注いでいるのがユニファイドオブザーバビリティを具現化する「Alluvio(アルビオ)」である。2022年4月に従来の製品を統合してAlluvioのブランド&ビジョンを発表し、2022年9月にはSaaS型サービスである「Alluvio IQ」の提供を開始した。
オブザーバビリティへのニーズが高まっている理由について、リバーベッドテクノロジーで代表執行役社長を務める佐々木匡氏は、IT環境の複雑化を挙げる。「多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を標榜することによって、クラウドシフトが加速しました。また、コロナ禍でリモートワークが一般化し、Web会議やチャットツールなど、エンドユーザーが利用するアプリケーションが一気に増えたのは周知の通りです。結果、システムの構成要素が多すぎて複雑化し、今何が起こっているかを把握するのが極めて難しくなってしまったのです」。
この状況に対峙し、一石を投じるユニファイドオブザーバビリティとは、どのようなものなのだろうか──。
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