箱根「一の湯」など旅館とホテルを9施設運営する一の湯(神奈川県足柄下郡)は、施設運営の効率化を目的に、複数のIoTセンサーシステムを導入した。エントランスの外側に人感センサーを設置して来客を検知するといったことを可能にした。現在は、卓上コンロによる温度変化を温湿度センサーで可視化して空調を操作する検討を始めている。IoTセンサーデータをローカル拠点で処理するエッジシステム基盤「Gravio」を利用している。Gravioを提供するアステリアが2022年12月27日に発表した。
箱根「一の湯」など旅館とホテルを9施設運営する一の湯(神奈川県足柄下郡)は、施設の1つにIoTセンサーシステムを導入した。アステリアが提供する、IoTセンサーデータをローカル拠点で処理するエッジシステム基盤「Gravio」を採用した。一の湯は、IoTシステムをノーコードで構築できる点を評価したという(関連記事:アステリア、IoTデータエッジ処理「Gravio」新版、ユーザー作成の画像認識AIモデルに対応)。
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エントランスの外側に人感センサーを設置して来客を検知するなど、複数のIoTセンサーを導入した。1つは人感センサーで、エントランスの外側に人感センサーを設置し、来客を検知するようにした(写真1)。
一の湯によると、従来はチェックイン時にフロントが無人の際、宿泊客に呼び鈴を鳴らしてもらう運用だったという。人感センサーにより、検知と同時にフロントスタッフに通知。スタッフがフロントに常駐していなくても、宿泊客が館内に入る頃にはスタッフが宿泊客を迎え入れられる。
温泉設備操作盤の操作記録には、スイッチ型のIoTデバイスを用いる。「温泉施設では、温浴設備を制御するバルブの開閉を決められた手順と周期に従って正しく行わなくてはならない。操作漏れや手順ミスは設備の故障につながる」(一の湯)ことから、2つ(左右)のスイッチでバルブ開閉の実行と終了を記録するようにした。
左右のスイッチの操作情報は、Googleスプレッドシートに自動入力される。操作を行うべき時間に記録がない場合は、担当者のスマートフォンにLINE WORKSによるアラートを自動で送信する。操作記録を常時監視することで、業務の抜け漏れを防ぐ。また、館内トイレにはドア開閉センサーを設置し、トイレの利用頻度を把握して清掃業務を効率化している。
現在、一の湯では、レストランでの空調温度管理の自動化に向けた検討を始めている。テーブルで使う卓上コンロによる温度変化を温湿度センサーで可視化して空調を操作・制御する計画で、宿泊客が常に快適な環境で過ごせることを目指す。