JALインフォテックは、プロセスマイニング製品「Celonis EMS(Execution Management System)」(Celonis製)を導入し、顧客企業からの見積依頼や、社内での見積作成・承認、外部への発注などの受注管理業務のプロセス刷新を図った。受注管理業務のプロセスを可視化することで、現場のボトルネックを特定する。同製品を提供したCelonisが、2023年4月25日に発表した。
日本航空(JAL)グループのIT中核会社であるJALインフォテックは、JALグループの安全・安心・快適な航空輸送サービスをITで支援している。同社は、近年のコロナ禍による事業環境の変化に対応するため、JALグループ各社のサービスの向上と、現場の業務負荷の軽減を目的に、業務プロセスの見直しを検討していた。そこで、業務プロセスを可視化でき、分析・アクションまでを1つの基盤で提供するうえ、航空業界に様々な導入実績のある「Celonis EMS」の導入を検討した。
同社は、2022年6月からCelonis EMSの導入に着手した。PoC(概念実証)を実施するため、JALインフォテックの本業であり、ビジネスインパクトに直結する受注管理の業務プロセスを対象にした。JALグループ内外の顧客に対して納期を遵守することは同社のビジネスにとって重要なため、案件が始まるまでの業務プロセスを改善することで、後工程へのしわ寄せをなくすことを目指した。
受注管理の業務プロセスに関連する、決裁稟議システム、生産管理システム、購買システムのログを収集・分析して一連の業務プロセスを可視化するところから始めた。「それぞれのシステムからどのデータを取得するべきか」、「それらをどのようにつなぎ合わせると1つの業務プロセスになるか」を考えながら作業を進めた。結果として、約5000件のデータをCelonis EMSに取り込み、業務プロセスを2カ月で可視化した。
同製品を導入したことにより、「経験による業務内容の理解」ではなく、「可視化し、データで裏打ちした正確な業務プロセス」を共通理解とすることができた。認識知に基づいた判断で業務プロセスの改善を進めることが可能になったとしている。現場だけでなく、経営層も同じ目線で改善に向けた議論が行えるようになり、メンバーの知見を合わせた改善策の立案につなげることができたとしている。
JALインフォテックは現在、今回のプロジェクトを通じて把握したボトルネックに対する施策の実行を進めている。今後は、社内の調達領域やJALグループの業務プロセスへと適用範囲を拡大し、事業環境の変化に即応できるオペレーションの実現を目指す。