Skeedは2023年6月1日、Webファイル交換サーバーソフトウェア「SkeedFileMessengerX」を提供開始した。メール添付ファイルをWebダウンロードで代替する用途や、メールに添付できないような大容量ファイルを受け渡す用途に向く。特徴は、遠距離でも大容量ファイルを高速に転送可能な独自プロトコルを採用していること。例えば、実測値ベースで東京と米国間で512MBのファイルを転送したところ、通常のHTTP転送が470.5秒かかったのに対して35.5秒で済んでいる。
Skeedの「SkeedFileMessengerX」は、社外などのユーザーとの間でファイルを交換可能なWebアプリケーションである(図1)。送信者は、Webブラウザからファイルをアップロードする。受信者は、Webブラウザでファイルをダウンロードする。受信者のメールアドレスを指定してダウンロードURLをメールで通知するなど、一般的なファイル交換サーバーと同等の機能を備えるとしている。メール添付ファイルをWebダウンロードで代替する用途や、メールに添付できないような大容量ファイルを受け渡す用途に向く。
図1:遠距離でも大容量ファイルを高速に転送可能な独自プロトコルを備えたWebファイル交換サーバーソフトウェア「SkeedFileMessengerX」の概要(出典:Skeed)拡大画像表示
最大の特徴は、遠距離でも大容量ファイルを高速に転送可能な独自プロトコルを採用していることである。HTTPベースの独自プロトコルと、UDPベースの独自プロトコル「SSBP」(Skeed Silver Bullet Protocol)の2つの独自プロトコルを備えている。いずれのプロトコルも、遠距離での高速転送をうたっている。エンドユーザーは、どちらかのプロトコルを選択してアップロード/ダウンロードする。あらかじめ管理者がどちらかのプロトコルしか使えないように設定することも可能。
HTTPベースの独自プロトコルは、詳細な仕組みは非公開だが、帯域制御によって空き帯域を有効に活用する(関連記事:Skeed、Webブラウザから通常のHTTPより高速にファイルを転送するソフト「SkeedWebGo」)。一方、UDPベースのSSBPは、送達確認(ACK)のないUDPを使うだけでなく、パケットを送信するペースを、輻輳を起こさない程度に自動で調整する。これらにより、遅延時間が大きい遠距離でのTCP/IP通信を高速化する。
HTTPベースの独自プロトコルを使った場合の効果は、表1の通り。同社が実験した実測値ベースで、東京(目黒)と米国(AWSオレゴンリージョン)間で512MBのファイルを転送したところ、通常のHTTP転送が470.5秒かかったのに対して、独自プロトコルは35.5秒で済んでいる。近距離では、東京(目黒)と東京(AWS東京リージョン)間で512MBのファイルを転送したところ、通常のHTTP転送が40.1秒かかったのに対して、独自プロトコルは6.4秒で済んでいる。
表1:Webモード(HTTPベースの独自プロトコル)と通常のHTTPファイル転送で実際にファイル転送にかかった時間を比べた値(出典:Skeed)拡大画像表示
HTTPベースのプロトコルを使う場合、Webブラウザ(JavaScript)だけで同ソフトウェアを利用可能である。一方、UDPベースのSSBPを使う場合、専用のクライアントソフトウェアまたはJava Web StartのようなWebダウンロード型のJavaプログラムを使ってファイルを転送する形になる。
Webアプリケーションソフトウェアの稼働OSは、Windows Server 2012以降またはLinux(Ubuntu)。別途、Java実行基盤(OpenJDK 11)も動作させる必要がある。一方、エンドユーザーは、Webブラウザ(Chrome、Edge、Safari)からWebアプリケーションにアクセスして利用する。価格(税別)は、3カ月間で40万5000円から。
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