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日本医科大学、電子カルテや病理生検画像を同時に解析するマルチモーダルAIを構築

がん再発までの年数によって再発メカニズムが異なる可能性を示唆

2023年6月13日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日本医科大学は2023年6月13日、前立腺がんを対象に、複数の検査データを同時に解析するマルチモーダルAIを構築したと発表した。これまでの研究で、AIが捉えた予測因子のパターンが、手術後から再発までの年数によって異なることを見出している。同AIは、NEC、理化学研究所とともに、複数の大学病院との共同研究の下で構築した。

 日本医科大学は、日本人男性に最も多いがんの1つである前立腺がんを対象に、手術前の電子カルテデータや病理生検画像などを用いたマルチモーダルAI解析を実施した。NEC、理化学研究所とともに、複数の大学病院との共同研究の下で構築した。

 解析によると、手術後から再発までの年数によって、AIが捉えた予測因子のパターンに違いが見られた(画面1)。この結果は、がん再発までの年数によって再発メカニズムが異なる可能性を示唆しているという。

画面1:AIによる、病理生検画像の解析結果。3D病理画像上に、がんの再発しやすさを青(低)から赤(高)で表示している。赤く背の高い領域が、再発に対して高リスクの予測因子を示している(出典:日本医科大学、NEC、理化学研究所)
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 研究ではさらに、多次元の情報を意味を保ったまま少ない次元の情報に落とし込む次元削減の改良や、AIが捉えた予測因子の多次元的な最適化を行ったとしている。これにより、既存手法(Kattan Nomogram)と比べて、手術から5年後までの再発予測の精度が約10%向上した。今後、さらに対象データを拡大し、実用化に向けた検証を進めていく。

 構築したAIシステムは、電子カルテをベースとした各種データを統合するシステム基盤技術(NEC)と、広範囲画像解析技術などを活用したマルチモーダルAI(理研)に、複数の大学病院の医師による検証データを組み合わせて構築した。今後、日医、NEC、理研の3者は、マルチモーダルAIの実用化に向けた連携を進め、治療計画の最適化や疾患の早期発見を目指す。

 「医療が高度に専門化する中、医療ビッグデータを多角的に解析するツールが求められている。しかし、従来の医療AIシステムは、単独の検査データを対象とするものが多く、複数の検査データを利用して統合的に判断できないことが課題だった」(日本医科大学)今回の研究では、マルチモーダルAIを構築し、複数の検査データを同時に解析することが可能になった(図1)。

図1:複数の検査データを統合的・多角的に解析する「マルチモーダルAI解析」の概念図(出典:日本医科大学、NEC、理化学研究所)
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