三菱瓦斯化学(三菱ガス化学)は、国内の5工場に、自然言語処理(NLP)を活用して事故や労災を削減するシステム「KY(危険予知)アシストシステム」を導入した。作業に関連するヒヤリハット情報をAIでサジェストする。同システムのベースとなった「Incident AI」を提供するシナモンが2023年6月29日に発表した。
三菱瓦斯化学(三菱ガス化学)は、国内の5工場に、自然言語処理(NLP)を活用して事故や労災を削減するシステム「KY(危険予知)アシストシステム」を導入した(図1)。
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当日行う業務の中から「作業」を抽出し、その作業に関連するヒヤリハットの情報や事故労災情報をサジェストする。保安事故やトラブル、労働災害の防止に役立てる。
同システムは、新潟工場をテスト工場として2020年4月に開発に着手。2021年9月に本番環境で運用を始め、国内の5工場に展開している。
同社の工場は毎月多くのヒヤリハット情報を作成しており、教育面で効果を表してきた。一方、過去に提出したヒヤリハット情報の活用は十分になされていなかった。今回これを改善した。
なお、KYアシストシステムは、シナモンの「Incident AI」を、三菱ガス化学向けにカスタマイズしたもの。Incident AIは、工場やプラントにおける保全業務を支援するシステムであり、事故報告書やヒヤリハット情報など事故に関わるテキスト情報から関連性の高い事故や原因・対策・結果などをサジェストする。
シナモンは今後、Incident AIに対して、リスクアセスメント業務への適用も見込んだ機能拡張や、ユーザーがより快適に使えるようなサポートを進める。ChatGPTに代表されるようなLLM(大規模言語モデル)技術の活用も推進していくとしている。