[事例ニュース]
南紀白浜空港、AI画像認識によるX線手荷物検査の実証を拡大、複数装置を1画面で集中監視
2023年8月2日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
空港などの保安検査を行う警備会社のセノンは2023年8月2日、日本航空(JAL)、南紀白浜エアポート、日立製作所が実施している「保安検査を支援する人工知能(AI)技術の実用化に向けた実証実験」に参加したと発表した。セノンの保安検査ノウハウを活用し、実際の業務に即した評価とAIの改善を行う。2023年10月からは、複数のX線検査装置の画像を1画面で検査する集中監視機能を導入する。単位時間あたりの検査可能手荷物数を増やすことを目指す。
南紀白浜エアポート(本社:和歌山県西牟婁郡)は、南紀白浜空港の保安検査(手荷物検査)に画像認識AIを適用する実証実験に、日立製作所と共に2021年8月から取り組んでいる。2022年3月には日本航空(JAL)も実証実験に参加し、危険物の最新情報や他空港での知見をAIに学習させる取り組みが進んでいる(関連記事:JAL、南紀白浜空港において保安検査に画像認識AIを適用する実証実験に参加)。
実証実験では「X線検査判定支援ソフトウェア」を活用。既存のX線検査装置の操作を変更することなく、X線画像における制限品の判定についてAIが視覚的にサポートし、検査員の負荷を軽減するシステムである。これまでの実証実験では、AIに学習させた危険物の検出にあたり、JALのノウハウを活用したソフトウェアのチューニングやAIの追加学習などを実施してきた。
今回、空港などの保安検査業務を行う警備会社のセノンが実証実験に参加した。セノンの航空保安検査のノウハウを活用し、実際の業務に即した評価とAIの改善を行う。セノンが加わる効果として、検査員の目線でアプリケーションの使い勝手が高まり、ストレスのない検査が期待できるようになるとしている。新たな実証実験期間として、2023年8月2日~2024年3月末日を設定している。
2023年10月からは、X線検査判定支援ソフトウェアの新機能として、複数のX線検査装置の画像を1つの画面で検査する「集中監視機能」を追加する(図1)。1人の検査員が複数のレーンの手荷物を検査できるかを確認する。さらに、X線検査装置から離れた場所で監視業務を行う際に、開披検査員(手荷物を開けて中身を確認する検査員)とうまく連携できるか確認する。
これらの検証結果から、AIと集中監視の組み合わせによって、単位時間あたりの検査可能手荷物数を増やすことを目指す。実証実験の役割分担は表1のとおり。
メンバー | 役割 |
---|---|
日本航空 |
|
南紀白浜エアポート |
|
セノン |
|
日立製作所 |
|