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富士通、サプライチェーン災害リスクを可視化するSaaS「SCRV」、台風/豪雨時に追加でかかる物流費を保険で補償
2024年1月22日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)
富士通と東京海上レジリエンスは2024年1月22日、サプライチェーンリスク可視化クラウドサービス「Fujitsu Supply Chain Risk Visualization Service(SCRV)」を販売開始した。業務アプリケーション群のSaaS/SIサービス「Fujitsu Uvance」の1サービスとして同年1月25日から提供する。気象災害などの発生時、SCRVに登録した取引先に被災の可能性があるとアラートメールで通知する。特徴は、サプライチェーンリスク可視化のみならず、水害の発生時に物流維持にかかる費用を東京海上日動火災保険が提供する保険で補償すること。
富士通の「Fujitsu Supply Chain Risk Visualization Service(SCRV)」は、サプライチェーンが気象災害などによって受けるリスクを可視化するクラウドサービスである。業務アプリケーション群のSaaS/SIサービス「Fujitsu Uvance」の1サービスであり、Microsoft Azureを稼働基盤にして提供する(関連記事:富士通、コンサル主導・提案型SaaS「Fujitsu Uvance」に注力、2025年度に売上7000億円を目指す)。
ユーザーは、自社のサプライチェーンを構成する取引先/パートナーの情報をSCRVに登録することで利用を始められる。今後、ユーザー固有の要件に合わせたカスタマイズに対応する予定としている(図1)。
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特徴は、サプライチェーンリスク可視化のみならず、自然災害(水害)の発生時に物流維持にかかる追加費用を東京海上日動火災保険が提供する保険で補償すること。SCRVで一定規模以上の被災可能性アラートが発出された際、台風や豪雨などによる浸水/洪水・外水氾濫を見越した製品の早期出荷や迂回輸送に伴う追加費用を補償する。
また、ユーザーや取引先が被災状況の情報をSCRVに入力することで、ステークホルダー全体で情報のタイムリーな収集、影響把握が可能になる。これにより、影響を最小限に抑えるための代替仕入れ先の確保、早期出荷・迂回輸送などの対策を早期に実行できるようになる。
平時においては、富士通が有事に備えたサプライチェーンリスク対策の立案を支援する。SCRVに登録したサプライチェーン情報に基づいて、ユーザーの拠点と取引先の生産拠点、生産品、調達品のサプライチェーンツリーを可視化する。拠点情報とハザードマップを地図上で重ね合わせる機能や、リスク評価レポートの出力機能などを備える。また、SCRVを通じて取引先と日常的にコミュニケーションを取ることができる。
「今日のサプライチェーンは、自然災害・気候変動、物流クライシス、地政学リスク、パンデミックに伴うロックダウンなどさまざまな危機に直面している。なかでも自然災害発生時の業務停止による損失額が増えている。平時からの準備と有事の迅速な対応に向けた取り組みの重要性が高まっている」(富士通)
富士通と既存の販売パートナーに加えて、東京海上レジリエンスがSCRVを販売する。料金はサプライヤーごとのID単位で課金し、100IDで年額1000万円弱。販売目標は2025年度までに90社、周辺サービス含めて数百億円。
富士通、東京海上レジリエンス、東京海上日動火災保険は今後、可視化するリスク対象の拡大や基幹システムとのデータ連携などSCRVの機能を強化していく。また、グローバル展開も検討している。