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[データマネジメント2024]

データマネジメントの進展に伴い変化する課題、持続的な成長を実現するには?

2024年4月2日(火)

データから価値を創出するため、多くの企業がデータマネジメントに取り組んでいるが、取り組みは容易には進まない。「データの所在が分からない」、「データ統合や運用に手間がかかる」といった壁に直面するからだ。2024年3月8日に開催された「データマネジメント2024」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)では、日立製作所の岩渕 史彦氏が登壇。日立が支援した企業の成功事例を交えつつ、生成AIを活用したデータカタログ、マスタ統合の始め方、データ運用の自動化など多角的な視点から、データマネジメントのめざすべき姿について語った。
提供:株式会社 日立製作所

データマネジメントは実現段階にシフト、
一方で深刻化するIT領域の課題

 データマネジメントへの取り組みは時代とともに中身が変遷しているが、現在はどんなことがテーマとなっているのだろうか。日立製作所(以下、日立)が2022年度と2023年度に実施したアンケート調査によれば、「優先的に取り組みたい領域」という問いに対して、「経営」という回答が18%から26%へ、「財務・調達」という回答が4%から10%へと急伸している。データマネジメントは、いよいよ経営や実務における実現段階にシフトしたと言えそうだ。

 日立の岩渕 史彦氏(クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット マネージドサービス事業部 デジタルサービス本部 デリバリ&データプラットフォーム部 主管技師)は、データマネジメントのエバンジェリストやコンサルタントとして、多くの企業を訪問する中で感じることを次のように語る。

 「業務領域のDXやデータ利活用には、すでに多くの企業が着手しています。そこで次のテーマとして、『データドリブン経営に取り組みたい』と考えるようになりました。さらに今年に入ってからは、『環境データの見える化にも取り組む必要がある』という声が、よく聞かれるようになりました」(岩渕氏)

 一方で岩渕氏は、「IT領域の課題はますます深刻化しています」とも語る。「データ運用にとても手間がかかる、どうにかして手間を省けないか?」、「データカタログへの登録や検索に壁がある」、「マスタやコードが揃っていないので、データ統合に手間がかかる」といった従来からの問題が、あらためて顕在化しているのだ。

株式会社 日立製作所 クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット マネージドサービス事業部 デジタルサービス本部 デリバリ&データプラットフォーム部 主管技師 岩渕 史彦氏

経営領域への取り組み、
経営情報統合と環境データ統合の事例

 上記のようなデータマネジメントの課題を抱える企業に対して、日立は経営領域に向けた取り組みの支援を強化している。岩渕氏は、そうした中で自らが課題解決に携わってきた企業の事例を紹介した。

 まずはグローバルに事業を展開している企業における経営情報統合と見える化の取り組み事例だ(図1)。この企業でも「システムの乱立やコードの不統一により、全社横断での経営情報の集計や分析が難しい」、「データの取り出しが難しく手間がかかる」、「基盤だけではなく、組織・ルールの準備が必要だと思うが、どのようにすれば良いか分からない」といった課題が噴出していた。

 そこで日立はアドオン型のデータ設計と基盤PoCを経て、経営情報統合基盤を構築するまでの一連の支援を行ったのである。

 「各種指標に基づいた概念データモデルを作成し、必要なデータとその源泉を明確にしました。またデータマネジメントの推進体制を『取りまとめ』『データ』『アーキテクチャー』の3つの領域に分け、それぞれに役員および経営企画部門、業務部門、IT部門を配置する体制を構築しました。さらにコード統制とデータ活用統制に軸足を置いたデータガバナンス規約を作成しました」(岩渕氏)と、顧客と共に達成した成果を示す。

図1:経営情報の可視化事例。事業ごと・システムごとの可視化から事業横断での可視化への移行を支援した
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 もう1つ岩渕氏が紹介するのは、ホールディングス体制をとっている製造業における環境データ統合への取り組み事例である。周知のとおりESG(環境・社会・ガバナンス)経営に向けてはグループ内の各事業会社から環境データを収集する必要があるが、この企業でも「各事業会社で個別に情報を持っていて統合に手間がかかる」、「現時点では手作業で集計しているので自動化したい」、「今後は自由分析も実現していきたい」といった課題を抱えていた。これに対して日立は顧客と共同して、ホールディングス全体をカバーする環境情報利活用基盤の構築を推進しているのである(図2)。

 「各工場や事業所の環境データを自動収集して一元管理し、『電力使用量』と『CO2排出量』の2つのユースケースを設定するとともに必要なデータマートを設計し、ダッシュボードで可視化しました。さらに今後のユースケース追加や自由分析を想定し、Data LakeやBIツールを選定しました」(岩渕氏)

図2:環境情報の可視化事例。工場・事業所の環境データを自動収集して一元管理、ダッシュボードでの可視化を実現した
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IT領域の取り組みの核心――
データカタログとマスタデータ管理

 続けて岩渕氏は、IT領域における取り組みについて紹介する。まず理解しておく必要があるのが、データカタログやマスタデータ管理の位置付けの変化だ。

 「2、3年前までデータカタログやマスタデータ管理といえば、情報統合スイートの機能の1つという認識でした。それが現在では、クラウドベースのデータマネジメント基盤にアドオンする一部機能へと変化しています」(岩渕氏)

 一方で多くの企業で関心が高まっているのが、生成AIを活用したデータカタログで、日立自身もPoCを実施中という(図3)。

 「生成AIを使ってカラム名から当該カラムを含むテーブル一覧を取得したり、逆にテーブル名からテーブルに含まれるカラム一覧を取得したりすることが可能です。さらにカラムの物理名から日本語名を取得するほか、多様なフォーマットのテーブル仕様書から欲しい情報を得るなど、多くのことを確認できました。テクニカルメタデータやビジネスメタデータの登録作業の効率向上や、メタデータ検索のインタフェース改善による作業効率向上など、生成AIを活用したデータカタログには大きな期待が寄せられています」(岩渕氏)

 さらに岩渕氏は、「マスタを統合することによりシステムを横断したデータ活用を促進し、企業のさまざまな活動を活性化することが可能となります」と、マスタ統合による課題解決の重要性を説くとともに、データマネジメント運用の自動化にもフォーカス。「データ運用プロセスを標準化し、例えば申請・承認プロセスに自動化ツールを適用することで、リードタイムを大幅に短縮できます」と言う。

図3:日立で実施している生成AIデータカタログのユースケースイメージ
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 ここまで紹介してきた取り組みを一貫して支援するサービスメニューとして、日立は「Hitachi Intelligent Platform(HIPF)」を用意している(図4)。

 「HIPFはマネージド型データ利活用サービスの新ブランドで、コンサルティングから構築、運用までワンストップでサポートします。日立内外の豊富な成功事例をもとに体系化されたサービスとして、さまざまな課題に対応したユースケースやサンプルデータモデルを提供し、製造や環境をはじめ研究、調達、保守といった業務のDXを実現するIoTプラットフォームの迅速な構築を支援します」(岩渕氏)

図4:Hitachi Intelligent Platform(HIPF)の概要
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 今後もさまざまなデータを収集し、サイバー空間上にデジタルツインを構築。これをベースとするHIPF IoT/データ利活用環境では、データの収集・蓄積・加工部分もサポートしていく計画だ。日立はデータマネジメントへの取り組みをさらに高度化し、企業におけるDX推進を加速していく。


●お問い合わせ先

株式会社 日立製作所
URL:https://www.hitachi.co.jp/products/it/IoTM2M/list/dms/index.html

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