[調査・レポート]

ガバメントクラウドによる自治体の基幹システム標準化は2025年度に集中─矢野経済研究所

2025年度をピークに再び過去の水準に

2024年5月24日(金)IT Leaders編集部

矢野経済研究所は2024年5月23日、国内の自治体向けIT製品・サービス市場の調査結果を発表した。2022年度は売上高ベースで前年度比4.4%増の7595億1000万円と推計している。新型コロナウイルス感染症に関連する給付金事業の需要が市場を押し上げたという。2023年度は横ばいで推移し、前年度比1.8%増の7733億7000万円と予測する。

 矢野経済研究所によると、2022年度の国内自治体向けIT製品・サービス市場は、売上高ベースで前年度比4.4%増の7595億1000万円だった。新型コロナウイルス感染症に関連する給付金事業の需要が市場を押し上げたという(図1)。

図1:自治体向け製品・サービス市場における規模の推移と予測(出典:矢野経済研究所)
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 2023年度は横ばいで推移し、前年度比1.8%増の7733億7000万円と予測する。地方税共通納税システムの税目拡大、物価高騰による給付金対応などが市場に貢献すると見ている。

 また、窓口業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)や業務効率化の実現を目的とした内部情報系システム(財務・会計、人事・給与、庶務・事務、文書管理などのシステム全般)の需要が高まっているという。

 「政府は、自治体のコスト削減などを目的に、2025年度末までに自治体の基幹業務(住民情報系)システムを統一・標準化し、デジタル庁が調達するガバメントクラウドで運用する方針を決定している。現在、ベンダーは期限までの移行に向けて、多くの人的資源を投入して対応している」(同社)

 ガバメントクラウドについて、2023年度は主に自治体との間で移行に向けた検証や運用テストなどを進める年となり、本格的な移行は2024年度から始まる見込みという。「ガバメントクラウドを活用した基幹業務システムの標準化対応は2025年度までの2年間で完了させなければならないが、ほとんどの自治体が2025年度中の移行を計画しているのが実態である」(同社)。

2025年度をピークに再び過去の水準に

 矢野経済研究所は、基幹業務システムの標準化対応が落ち着く2026年度以降の主な動向について、2つのポイントを挙げている。

 1つは標準化への継続対応である。政府は2025年度までにシステムの移行が困難である自治体に対して、別途移行期限を設定することを認めるとしている。また、ガバメントクラウドで運用する以上、クラウドに適したシステムにする必要があるため、2026年度以降も標準化に関連した対応は継続して行われると同社は見ている。

 もう1つはDXの推進である。自治体における職員減少は深刻な問題となっており、そうした中でも住民サービスを維持していくにはデジタルの活用は必須である。2026年度以降、それまで標準化に集中していた人的資源がDXの推進に充てられることになるという。

 こうした背景から同社は、2026年度の自治体向け製品・サービス市場の規模は、特需が想定される2025年度から一転、19.1%減と大きく落ち込むと予測。ただし、継続的な標準化への対応とDX推進など新たな事業の展開が始まるため、2024年度の市場規模と比較して縮小することはないというのが同社の見方で、2026年度は8062億円の予測を示している。

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