[市場動向]

NTTデータ経営研究所とVIE、音楽を聞き流すだけで本人を認証できる脳波認証技術を検証

2024年9月20日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NTTデータ経営研究所とVIEは2024年9月20日、脳波で本人を認証する技術を開発し、99.5%以上の精度で認証できることを検証したと発表した。脳波の特定周波数を惹起する音楽「Neuro Music」を聞き流すだけで認証できる。両社は今後、同技術を用いた本人認証システムを共同で事業化する。

 NTTデータ経営研究所とVIEは、脳波で本人を認証する技術を開発し、その検証を行った。認証を受けるユーザーが特別な操作を行うことなく、指定の音楽を聞き流すだけで認証を受けられるというもの。両社は今後、同技術を用いた本人認証システムを共同で事業化する。

 「指紋や顔、静脈などによる生体認証が安全性の高いセキュリティ対策として普及してきたが、いずれの手段でも偽造やなりすましなどのリスクは残っている。こうした中、脳波を用いた本人認証技術に注目が集まっているが、従来の生体認証よりも煩雑な認証タスクを能動的に実施しなければならないことが課題である」(両社)

 研究において両社は、脳波の特定周波数を惹起する音楽「Neuro Music」を用いて、音楽を聞き流すだけでシームレスに本人認証を実施する技術を開発している。

 その検証にあたって、合計23人の被験者データを用いて、音楽に対する脳波反応の個人差から個人認証を行う予測モデルを構築した。この結果、99.5%以上の精度で認証できることを検証した。事前のモデル作成にあたっては、5分×5セットで合計25分間の音楽聴取によって個人ごとに脳波を学習させている(図1)。

図1:頭皮上電極を用いた本人認証精度。グラフ左から、Accuracy(正確さ)、False Positive Rate(偽陽性率)、F1スコア(適合率と再現率の調和平均)。EEGは5ch、EarEEGは2ch(出典:NTTデータ経営研究所、VIE)
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 また、電極数について5ch(Cz、T3、T4、左外耳道、右外耳道)と2ch(左右の外耳道内の2極)の2条件で比較したところ、2chのみでも5chと同等程度の認証精度が確保できたという。「イヤホン型脳波計などの簡易型デバイスでも高精度に本人を認証できる可能性を示唆している」(両社)。

 次に、別人を本人と誤って認証するリスクを低減するため、別人である可能性が少しでもある場合に認証拒否を行った場合の精度を検証している。結果、厳しい閾値を設定することで認証拒否される確率は高まるものの、誤認証率を0%に近づけることができたという(図2)。

図2:認証に閾値を設定した場合の認証精度・拒否率。EEGは5ch、EarEEGは2ch(出典:NTTデータ経営研究所、VIE)
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