[事例ニュース]
JR東日本、鉄道固有の知識を学習したLLM「鉄道版生成AI」を2027年度末までに開発
2024年10月9日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
東日本旅客鉄道(JR東日本、本社:東京都渋谷区)は2024年10月8日、「鉄道版生成AI」の開発に着手すると発表した。鉄道固有の知識を学習した生成AI/大規模言語モデルで、鉄道業界の法令・規則に加え、個々の社員や組織に分散していた業務知識・ノウハウを横断的かつ統一的に集約する。2027年度末を完成目標と定め、段階的に開発して性能を高めていく。他の鉄道事業者への展開も検討する。
JR東日本の「鉄道版生成AI」は、鉄道固有の知識を学習した生成AI/大規模言語モデル(LLM)である。鉄道業界の法令・規則に加え、個々の社員や組織に分散していた業務知識・ノウハウを横断的かつ統一的に集約する。2027年度末を完成目標と定め、段階的に開発して性能を高めていく。他の鉄道事業者への展開も検討する(図1)。
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「鉄道事業の各種基準や規程類は、量が膨大であるだけでなく、文章に含まれる鉄道固有の表現や図表類の理解が難しい。生成AIを適用する場合、AIがこれらの情報を理解していないと、精度の高い回答は得られない」(JR東日本)。この問題を解決するため、鉄道固有の知識を学習した鉄道版生成AIを開発することにした。
3つのステップで開発を進める。各ステップごとに、AIモデルが社内の各業務で必要とする知識レベルを備えているかどうかを評価する。ベースとなるLLMは、日本語の学習を施したモデルを採用する。すでに日本語LLMを提供するパートナーとの協業を進めている(図2)。
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図3は、LLMに学習させる鉄道事業固有の知識の、ステップごとの計画である。ステップ1では、鉄道に関連する法令、社内の基準、規程、規則、手続き類を取りまとめた文書、社内で使っている通信教育の教材、社内広報誌などを学習させる。ステップ2以降では、営業分野、技術分野、事務分野の解説資料、工事設計資料、通達文書・連絡文書、各分野に関わる発生事象資料などを学習させる。
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●Next:鉄道版生成AIのユースケース、今後の計画
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