[調査・レポート]

国内のPOS端末市場は横ばい、人手不足を背景にセルフレジが台頭─矢野経済研究所

2024年10月17日(木)IT Leaders編集部

矢野経済研究所は2024年10月16日、国内におけるPOS(販売時点情報管理)端末市場の調査結果を発表した。2022年度のメーカー出荷台数は前年度比106.4%の9万6773台だった。2023年度はさらに回復傾向が顕著となり、出荷台数は10万7837台(同111.4%)に上る。コロナ禍で投資を控えていた流通小売業各システムへの投資を再開したことが影響し、回復傾向にあるという。

 矢野経済研究所は、国内におけるPOS(販売時点情報管理)端末市場を調査した。調査は 2024年6月から9月にかけて、POSシステム関連事業者やシステム構築ベンダー、ユーザー企業などを対象に実施した。同社研究員による直接面談(オンライン含む)、電話、メールによるヒアリングと文献調査を併用した。

 2022年度のメーカー出荷台数は、前年度比106.4%の9万6773台だった。コロナ禍で投資を控えていた流通小売業各社がシステムへの投資を再開したことが影響し、回復をみせた。ただし、同年度のメーカー出荷金額は前年度を下回る376億3900万円(同94.0%)だった(図1)。

 2023年度は回復傾向がより顕著となった。出荷台数は、前年度比111.4%の10万7837台に達した。昨今のインフレ傾向とPOS端末のセルフ化による製品単価の上昇が影響し、出荷金額も452億2100万円(同120.1%)となった。

図1:国内におけるPOS端末市場の予測(出典:矢野経済研究所)
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チェックアウト業務が不要なフルセルフレジに需要がシフト

 矢野経済研究所は注目トピックの1つとして、「レジ係」や「品出し係」の人手不足を背景にしたセルフレジの台頭を挙げる。セミセルフレジが急速に普及し、今後はチェックアウト業務が不要なフルセルフレジに需要がシフトすると見ている。「特許問題などの理由からセミセルフレジを供給するベンダーが限定されることから、ユーザー企業は開発競争に拍車がかかるフルセルフレジを有力な選択肢にする」(同社)。

 今後のPOSレジの形態は、以前からある設置型のフルセルフタイプに加えて、カートタイプのレジとスマホを活用したスマホレジの2つが台頭してくるという。「カートタイプのレジは主にタブレットをカートに搭載したセルフレジである。一方、スマホレジは、顧客または店舗保有のスマートフォンで利用客自身がスキャニングするセルフレジである。今後は、このタイプのチェックアウトシステムが大きく需要を伸ばす」(同社)。

 市場の将来展望として、大手の流通小売チェーンのシステム更新時に大きく需要を伸ばすが、これを除けば大きな成長は見込まれず、横ばい、もしくはなだらかに縮小していく見通しを示している。

 同社によると、2024年度は出荷台数10万7410台(前年度比99.6%)だが、セルフタイプレジへの置き換えから出荷金額は473億9500万円(同104.8%)になる見通し。2025年度は11万2781台(同105.0%)に対し、競争激化からセルフタイプレジの製品単価低下を見込み、同90.4%となる428億5,700万円と予測している。

 その後、2026年度と2027年度は、大手コンビニエンスストアチェーンのシステム更新によるPOS端末入れ替え需要の発生を見込んでいる。コンビニのPOSシステムは前回も3大チェーンがほぼ同じ時期に一気に入れ替えたため、次回もほぼ同じような時期に一度に需要が集中する見通しという。予測した出荷台数は2026年度が13万5337台(前年度比120.0%)、2027年度は17万5938台(同130.0%)。出荷金額は2026年度が514億2800万(同120.0%)、2027年度は703億7500万(同136.8%)になるという。

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