NECは2024年11月20日、PLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウェアの新版「Obbligato R3.6」を2025年4月から提供すると発表した。新版では、過去の製品開発を通じて蓄積した技術ドキュメントを、生成AIの対話型インタフェースを介して効率よく検索できるようにした。
NECの「Obbligato(オブリガート)」は、PLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウェアである。設計図面や部品表の管理機能を中核に、文書管理、部品表管理、オーダー管理、コスト管理など各機能で構成する(関連記事:NEC、PLMソフト「Obbligato」を強化、Slack連携など追加)。
製品のライフサイクル全般を通してコストを管理できる。企画設計段階から部品・材料の原価を管理し、為替レートや構成部品の変動による原価シミュレーションなどが可能。日本特有の“擦り合わせ”によるものづくりを支援する機能などに強みがあるとしている。
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新版では、過去の製品開発を通じて蓄積した技術ドキュメントを、生成AIの対話型インタフェースを介して効率よく検索できるようにした(画面1)。設計者の質問に的確な回答を提示するとしている。連携可能な大規模言語モデル(LLM)は、NECの「cotomi」またはAzure OpenAI ServiceのGPTのいずれか。
文書検索の例として、製品設計時に考慮すべき事項を問い合わせると、過去製品の設計書を下に考慮事項を列挙する。また、実施したい試験を行うための装置の利用方法を問い合わせると、装置マニュアルから必要箇所を抽出して提示する。
CADデータなどを管理するPDM(製品データ管理)ソフトウェアとの連携コネクタを拡充し、接続先のPDMとして、ダッソー・システムズの「SOLIDWORKS PDM」に加え、PLMジャパン「PLMconsole xCAD」を利用できるようになった(図1)。
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また、3Dデータの活用を支援する機能として、BOM(部品表)と3Dビューを連動させて双方向ハイライト表示に対応した。3Dイメージの閲覧性が上がり、設計部門以外にも、製造部門などものづくりに関わる全部門の業務効率・品質が向上するとしている。BOM画面のマウスオーバーで3Dビューを表示する機能も追加した。
設計部門が設計BOMを変更した際に、製造部門が作成する生産BOMに対し、品目情報と構成情報の変更を自動で反映する機能が加わった(画面2)。生産BOMの状態によっては品目情報だけを自動で反映し、それ以外はアラート表示するといった運用も可能である。「設計BOMと生産BOMは構造が異なり、設計変更時に製造側で生産BOMに変更を適用する手間が大きく、ミスが起こりやすい」(NEC)ことから同機能を追加したという。
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