[調査・レポート]

2024年度のCAD/EDA市場は前年度比5.5%増と堅調に推移─矢野経済研究所

AIによる図面作成・設計の自動化がトピック

2024年11月26日(火)IT Leaders編集部

矢野経済研究所は2024年11月22日、国内におけるCAD/EDA市場の調査結果を発表した。2023年度の市場規模は、前年度比3.5%増の3211億5300万円だった。AIによる図面作成・設計の自動化などの機能の実装も進み、2024年度は前年度比5.5%増で成長が継続する見込みである。

 矢野経済研究所は、国内におけるCAD(コンピュータ支援設計)/EDA(電子設計自動化)市場を調査した。CAD/EDA製品ベンダーの出荷金額ベースで市場を算出した。調査期間は2024年7月~10月で、ベンダーへの直接面談(オンライン含む)や電話/メール調査、文献調査を組み合わせた。

 調査対象の製品・サービスは、機械系CAD(2次元CAD、3次元CAD、金型設計用CAD/CAM、PDM)や、電子機器や半導体の設計作業を支援するEDAソフトウェア、建築や設備、土木、プラントなどの設計を支援する土木・建築系CADソフトウェアである。

図1:国内CAD/EDA市場における規模の推移(出典:矢野経済研究所)

 2023年度のCAD/EDA市場規模は、メーカー出荷金額ベースで3211億5300万円、前年度比103.5%だった(図1)。2024年度のCAD/EDA市場規模は、前年度比105.5%の3388億1100万円と予測している。

 CAD市場は、円安が継続したことから堅調に推移した。日本製造業の業績は好調となり、設備投資も行われた。EDA市場は、半導体産業再興に向け国を含めた取組みが本格化し、半導体の国内製造・開発拠点開設の動きもみられ、上向き基調である。土木・建設業界では、原油などのエネルギーと原材料の世界的な不足や価格高騰の中、業務効率化に取り組むユーザー企業を中心にCADへの投資が堅調だった。

 注目トピックの1つは、AIによる自動化である。CADにおいては数年前からAIの活用が始まっており、すでに機能として実装され、ユーザーが利用しているものもある。検証と解析もAIと親和性が高く、EDA領域は一例である。半導体設計では、周波数や熱、大きさといった背反条件が存在し、これらのバランスを検討して設計することに、これまで多くのリソースがかかっていた。すでに検証/設計でのAI活用は実装されており、ユーザーの評価も高い。

 AI関連のユーザーニーズでは、図面作成・設計の自動化が大きなトピックである。ベンダー各社も機能の開発に取り組んでいる。CADオペレータは、図面やモデル作成において納期や作成量の負担を感じている。

 将来の展望としては、為替動向や地政学的リスク、インフレの加速による経済環境の悪化が、CAD/EDA市場の規模拡大を減速させる可能性がある。一方、2023年度までの市場概況が2024年度も継続するとともに、ユーザー企業によるDX推進やものづくりプロセスの高度化への意欲が醸成されている。

 こうしたことから同社は、AIや自動化機能をはじめとした高度なCAD製品・サービスの導入実績の積み上げが進むと見込んでいる。また、半導体分野を重要視するユーザー企業が増加傾向であることも追い風となり、CAD/EDA市場は成長を続けると予測する。

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