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JR西日本のコンタクトセンター、生成AIでVoC全件を分析、集計データの品質を均質化

2024年12月3日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

JR西日本のコンタクトセンターを運営するJR西日本カスタマーリレーションズ(本社:兵庫県尼崎市、以下、JWCR)は2024年12月3日、生成AIを活用したVoC分析の実運用を開始したと発表した。これまで実現が難しかった、顧客の声全件を一律のルールで集計した結果をダッシュボードで可視化できるようになった。ELYZAがシステム構築を支援した。

 JR西日本のコンタクトセンターは、電話やメールでの問い合わせが月間で約7万件ある。これらの応対履歴を要約し、テキスト化して保存している。JR西日本カスタマーリレーションズ(JWCR)は今回、これらのVoC(顧客の声)を生成AIで分析するシステムを導入した(図1)。

図1:VoC分析の課題と、生成AIを用いた解決方針(出典:JR西日本カスタマーリレーションズ)
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 従来、コンタクトセンターの多くは、VoC分析の有益性は認識しつつも、理想的な運用には落とし込めていなかった。背景には、データ品質のばらつき、集計ルールの属人化、工数の制約など、複数の要因がある。

 JWCRも以前からVoC分析を導入していたが、最も重要なデータだけに絞って集計していた。集計結果の信憑性を担保するための工数も大きかった。また、集計において大まかなルールはあるものの、集計担当者に依存する部分もあり、集計データの品質がばらついていた。

 今回導入したVoC分析システムを使うと、全件データを対象に、特定のルールに則った一律の集計を、工数を省力化した形で行える。構成要素として、均質化した要約データを生成する要約AI、集積したデータにタグとカテゴリを付与するAI、集計・可視化・分析を行うダッシュボードなどを含んでいる(図2)。

図2:VoC分析システムのフロー(出典:JR西日本カスタマーリレーションズ)
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 VoC分析を導入した効果として、定常業務の1つである週報の作成時間が2時間から30分へと短くなった(図3)。以前は、入電や問い合わせの応対履歴1週間分に対し、Excelマクロを用いて定型項目を集計し、この結果を踏まえて集計担当者がトピックを選んで集計していた。手作業での集計だけでなく、報告資料への手作業での転記もあり、週報作成業務に毎回約2時間を要していた。

図3:週報作成業務にVoC分析を導入した効果と、実際の週報画面(出典:JR西日本カスタマーリレーションズ)
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 VoC分析の導入後は、ダッシュボードを開くと、直近2週間分の応対履歴が既に可視化された状態になっている。応対履歴の概況から、注目すべきトピックに当たりを付け、報告内容をまとめることができるため、30分程度で週報を作成可能になった。

 非定常業務の1つである反響の報告についても、負担が減った(図4)。非常時は、通常時の約5~7倍の入電や問い合わせがある。以前は、件数集計や内容把握の業務負担が大きかったほか、報告担当者の主観を交えて報告事項を選定していたために報告内容の客観性が高くなかった。また、深掘りした報告書を作成するためには、集計担当者が追加で工数を投入する必要があった。

図4:反響報告業務にVoC分析を導入した効果と、実際の反響報告書画面(出典:JR西日本カスタマーリレーションズ)
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 VoC分析の導入後は、入電や問い合わせの応対履歴を自動的に集計・可視化できるようになり、集計作業の業務負担が減った。また、グラフで可視化されるため、視覚的特徴を捉えやすく、深掘りすべきトピックに当たりを付けやすくなった。トピックごとに深掘りすることもでき、対策・対応・情報発信の工夫に活かしやすくなった。

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