清水建設(本社:東京都中央区)は、全国にある建設作業所・事務所(約550箇所)のドアに、顔認証を使ったスマートロックを導入した。ビットキーの「workhub」を用いて入退室時の時刻が勤怠管理システムに自動反映される仕組みを構築し、勤務場所の滞在時間を把握できるようになった。ビットキーが2025年1月9日に発表した。
建設業界では、顔認証システムを用いて労働時間を把握する取り組みが進むものの、建設作業所・事務所は短期間で撤去されるため、導入・設営の労力・コストの課題があった。一方、2024年4月からは建設業界において残業時間の上限規制が適用されており、各社で作業員の勤務場所での滞在時間を把握する仕組みが求められている。
清水建設は2022年、システム連携ツールにビットキーの「workhub」を採用して、顔認証を用いるスマートロックを同社の勤怠管理システムと連携させる仕組みを構築し、検証を行った。工事が不要で、現場間での移設が簡単なこと、顔認証とスマートロックの組み合わせにより勤怠データの取得率が向上することを確認。全国約550箇所の建設作業所事務所と一部の支店に顔認証によるスマートロックの運用を開始している(図1)。
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作業所・事務所のドア部分に、スマートロックと顔認証用タブレット端末を設置している(写真1)。従業員は顔をかざしてドアの鍵を解錠し、解錠の履歴から、入退室時刻を容易に把握できる。
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スマートロックは両面テープで設置可能であり、顔認証に用いる認証用のタブレット端末も簡単に設置できる。「作業所・事務所は工事の着工・竣工に合わせて開閉所するため、一般的なオフィスに設置する工事式の電子錠やオフィスセキュリティを導入することはコストや工事作業の手間などから現実的ではない」(清水建設)という問題をクリアしている。
同社によると、検証時に、入退室時刻を記録するためだけに顔認証を強いるのは従業員に負荷をかけ、顔のかざし忘れが2割ほど発生することが分かったという。そこで、スマートロックを顔認証に組み合わせることで、顔をかざすだけでドアの鍵も解錠できる仕組みにしている。
今回作業所・事務所に導入したシステムは、一部支店にも導入する予定である。今後は、顔認証とスマートロックによる入退室だけでなく、受付の無人化や会議室の予約など、施設のニーズに応じたオフィス環境の構築に取り組む。すでに、清水建設本社やオープンイノベーション拠点である「温故創新の森NOVARE」(東京都江東区)が無人受付システムを先行導入している。