資生堂(本社:東京都中央区)は、全社の販売/顧客分析システム「B-NASS+」をクラウドに移行し、2023年6月より運用している。オンプレミスのOracle DatabaseおよびOracle Business IntelligenceをOCIに移行したことで運用コストを約20%削減し、夜間バッチ処理を約90%高速化した。合わせてセルフサービスBIを導入し、データ分析の利便性を高めている。日本オラクルが2025年2月4日に発表した。
資生堂は、全社の販売/顧客分析システム「B-NASS+(ビーナスプラス)」を2016年から運用している。国内外の販売管理と顧客/購買管理の情報に、市場の動向を反映させて網羅的に分析するための全社システム基盤で、従業員約5000人が利用している。
B-NASS+は、数千の店頭POSシステムからデータを収集し分析する。営業・マーケティング担当者が綿密な提案を行えるように、取引先ごとのデータを一覧可能なモニタリング機能、商談に使う提案書テンプレート、顧客分析機能などを備えている。
その稼働基盤はオンプレミス環境の汎用サーバー/ストレージで、「Oracle Database」や「Oracle Business Intelligence(BI)」で構築したシステムを運用していた。
今回、オンプレミスから、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上の「Oracle Exadata Database Service」と「Oracle Analytics Cloud」に移行した。移行プロジェクトは2022年4月に設計を開始し、本番環境の構築、データベース基盤の移行、分析プラットフォームの構築、検証などを経て、2023年6月より新システムの稼働を開始した。
クラウドに移行したことで、運用コストを約20%削減した。また、Exadata Database Serviceへの刷新によって処理性能が向上し、夜間バッチ処理を約90%高速化、画面レスポンスを改善している。
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Oracle Analytics Cloudは、従来のOracle BIの画面をそのまま継承している(画面1)。合わせて、セルフサービスBI環境を整備し、従業員がデータを高い自由度で分析できるようになり、データ分析の利便性が向上したという。
現在、資生堂は、データの集約をさらに進め、マシンラーニング(機械学習)に分析やセルフサービスBIの業務活用に取り組んでいる。「より簡単に洞察を得ながら、リアルタイムにデータを活用できるようにする」(同社)としている。