アイ・ティ・アール(ITR)は2025年2月18日、国内のIaaS/PaaS市場における規模の推移と予測を発表した。2023年度の売上金額は前年度比15.3%増の1兆5642億6000万円だった。市場に影響力を持つ上位5ベンダーが、いずれも前年度から2ケタの伸び率となったことが成長の要因とし、2024年度も同様の傾向により、同等の伸びを維持すると予測している。
アイ・ティ・アール(ITR)は、国内のIaaS/PaaS市場について規模の推移と予測を発表した。2023年度の売上金額は前年度比15.3%増の1兆5642億6000万円だった。市場に影響力を持つ上位5ベンダーが、いずれも前年度から2ケタの伸び率となったことが成長の要因とし、2024年度も同様の傾向により、同等の伸びを維持すると予測している(図1)。
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IaaS市場では、エネルギー価格の高騰や仮想化基盤のライセンス価格の変更などを背景に、多くのベンダーがサービス提供価格を引き上げ、単価の上昇が続いているという。
「大企業では新規導入は減少傾向にあるものの、ハイブリッド/マルチクラウド環境の拡充に向けたアップセル増加の期待がある。一方、中堅・中小企業では、クラウド化が進んでいないところもまだ多く、今後も新規導入が拡大すると見られる。需要は一部のメガクラウドベンダーに集中しており、これらのベンダーが今後も市場の拡大を牽引する」(ITR)。
PaaS市場では、ベンダー各社ともサービスの強化・拡充を継続的に進めており、特に近年はAI関連のサービスの拡充に注力しているという。ITRは、こうしたAI関連サービスを含め、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する基盤として、今後も企業規模を問わずPaaSの導入が進むと見ている。「IaaSと同様、需要が集中している一部のメガクラウドベンダーの売上拡大が市場全体の成長を後押ししている」(同社)。
ITRは、IaaSとPaaSを合算した市場のCAGR(年平均成長率、2023~2028年度)は12.8%で、2025年度には市場規模は2兆円に達すると予測する。同社プリンシパル・アナリストの甲元宏明氏は次のようにコメントしている。
「IaaS/PaaS市場は大規模なユーザー企業の需要によって拡大している。これらの企業はDX推進に積極的で、より高度にクラウドサービスを活用している。IaaSのみを利用する企業は少数派で、サーバーレスやコンテナ/KubernetesなどのPaaS/IaaSを併用する企業が多数を占める。こうした企業にとっては、必然的にメガクラウドが選択肢となるため、今後もメガクラウドが市場を牽引する」。
今回の発表は、市場調査レポート「ITR Market View:クラウド・コンピューティング市場2025」に基づく。同レポートは、IaaS/PaaS/DaaS(Desktop as a Service)市場を対象に、国内33ベンダーへの調査から、2022~2023年度売上実績および2028年度までの売上予測を掲載している。