[調査・レポート]
生成AIの進展に伴い、国内パブリッククラウド市場は前年比26.1%増─IDC
2025年2月21日(金)IT Leaders編集部
IDC Japanは2025年2月20日、国内パブリッククラウド市場の予測を発表した。2024年は前年比26.1%増の4兆1423億円(売上額ベース)だった。2024年は生成AIが活況で、関連製品・サービスが売上を伸ばしたという。2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR)は16.3%で、2029年の市場規模は2024年比約2.1倍の8兆8164億円になると予測している。
IDC Japanの調査では、2024年の国内パブリッククラウド市場は前年比26.1%増の4兆1423億円(売上額ベース)に達した。2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR)は16.3%で、2029年の市場規模は2024年比約2.1倍の8兆8164億円になると予測している(図1)。
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2024年は生成AIが活況で、関連製品・サービスが売上を伸ばしたという。「Webシステムやアプリケーションパッケージによるシステムなど、クラウドに移行しやすいシステムの移行はピークを過ぎたが、レガシーシステムやスクラッチ開発システムのクラウド移行が本格化し、デジタルビジネスの実践を目的とした投資も活性化した」(IDC)。
IDCは、今後もクラウド移行、クラウドネイティブ化、生成AI、デジタルビジネスなどで投資が拡大し、高い成長を継続すると見ている。同社によると、生成AI機能を組み込んだSaaSは翻訳、要約、キーワード抽出、コンテンツ作成、プログラミング支援など、生産性を高めるユースケースで本格導入が始まっているという。一方、ビジネス機能のユースケースは、データプレパレーションやプロセスの可視化/標準化などの課題が多く、先駆的な企業が概念実証を行っている段階であると指摘する。
また、2024年はベンダー各社のAIエージェントへの取り組みが加速したという。「AIエージェントは人間の代わりに自律的にプロセスを判断して、外部のシステムを活用しながらタスクを実行する。生産性向上にとどまらず、ビジネスプロセスの自動化が可能で、生成AIのユースケースを飛躍的に拡大する」(同社)
IDCはAIエージェントの場合、SaaSが多いAIアシスタントとは異なり、ユーザー企業が既存アプリケーションや社内データを活用してシステムを構築する形態をとると説明。動向を次のように予測する。「現在、ベンダー各社は、AIエージェントビルダーなどと称される開発環境、データプラットフォーム/ナレッジベース基盤の整備、導入支援サービスの提供・強化を行っている。今後、AIエージェントの発展が、ビジネスユースケースの普及を促進する」。
「国内市場においてパブリッククラウドサービスは普及し、用途もIT/業務の効率化から、デジタルビジネスの実現へと拡大している。こうした中で生成AIが登場し、この動向を加速している。また、ほとんどすべてのベンダーが生成AIに関連する製品・サービスの開発と提供、エコシステムの拡充に注力しており、ベンダー間の競合状況の激化に加え、協業状況が複雑化している」(IDC)
今回の発表は、同社のレポート「国内パブリッククラウドサ ービス市場予測、2025年~2029年」に基づく。同市場の概況や動向を分析し、セグメント別に2025年~2029年の市場予測をまとめている。