広島県(県庁所在地:広島市)は2025年2月28日、牛舎内に設置した機器やロボットなどのデータを集約する畜産データ基盤を構築し、牛の乳量をAIモデルで予測する検証を同年4月に開始すると発表した。「ひろしま型スマート農業推進事業(ひろしま seedbox)」の実証プロジェクトの一環として、広島大学、BIPROGYとの連携の下で実施する。同県内の酪農場「トムミルクファーム」を実証フィールドとして、2026年度内の実用化を目指す。
広島県は、広島大学、BIPROGYとの連携の下、牛舎内に設置した機器やロボットなどのデータを集約する畜産データ基盤を構築し、牛の乳量をAIモデルで予測する検証を2025年4月に開始する。「ひろしま型スマート農業推進事業(ひろしま seedbox)」の実証プロジェクトの一環として実施する(図1)。
畜産データ基盤の構築にあたって、BIPROGYの空間認識プラットフォームサービス「BRaVS Platform」を利用する。平面画像の他、3D/4Dデータを扱うことができ、対象物に関する付加情報(地域・季節・時間帯・気温・音など)を含めたディープラーニング(深層学習)により、総合的な判断を可能にする。
酪農場「トムミルクファーム」(広島県東広島市)を実証フィールドとして、2026年度内の実用化を目指す。また、事業成果を基に農林水産省と連携し、畜産データ基盤を全国展開する計画である。
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「乳牛は繊細な生き物であり、気温や湿度、季節の変化や飼料などの外的要因でストレスを感じてホルモン分泌量が変化し、乳量や乳脂肪率が低下する。牛舎の環境維持管理が重要で、機器やロボットが活用されているが、個別に管理されているため、それぞれの調節が必要になり、酪農家の負担になっている」(広島県、広島大学、BIPROGY)
畜産データ基盤の下、酪農家はアプリから乳牛の乳量や乳脂肪率について1~2週間先を予測できる。この予測から、乳牛のストレス緩和のために牛舎環境の制御やサプリメント投与などの対策を講じることができる。
現在、スマートフォンに搭載のLiDAR(Light Detection And Ranging、ライダー:光による検知・測距)センサーを活用した3D計測の仕組みを開発中で、これにより牛の体尺と体重を非接触で推計できるようになる(図2)。表1は、畜産データ基盤で扱う機器とデータである。
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機器・ロボット |
個体行動センサー |
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データ |
牛センサーからの行動時間分析 |