[調査・レポート]
2025年の国内IT市場は前年比8.2%増へ、大都市圏/大手企業によるIT支出が牽引─IDC
2025年3月12日(水)IT Leaders編集部
IDC Japanは2025年3月11日、国内IT市場の地域別予測を発表した。2024年9月までの実績と同年12月までの経済状況を踏まえて予測を行っている。2025年の市場規模は前年比8.2%増の26兆6412億円と推計し、大都市圏で高い成長率での拡大を予測している。その他の地域では人口減少による経済回復の遅れから、プラス成長ながら比較的小幅の成長にとどまると見ている。
IDC Japanは、国内IT市場の地域別予測を発表した。2024年9月までの実績と同年12月までの経済状況を踏まえて予測を行っている。2025年の市場規模は前年比8.2%増の26兆6412億円と推計し、大都市圏で高い成長率での拡大を予測している。その他の地域では人口減少による経済回復の遅れから、プラス成長ながら比較的小幅の成長にとどまると見ている(図1)。

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IDCによると、2024年は急激な円安、原材料価格高騰、人件費高騰が一部の産業分野に影響を及ぼしたものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束し、観光・インバウンド需要も回復していることから、多くの企業で業績が改善に向かったとしている。一方で、人材不足の深刻化に伴って、生産性向上と企業成長を図るために業務のデジタル化やデジタルサービス事業に取り組む企業が増加したという。
2025年は前年に引き続き、生産性向上と新たなビジネスモデルの構築を目指してデジタルに取り組む企業が増えるとしている。「大企業を中心に、既存システムの抜本的な見直しやモダナイゼーションを目的としたIT支出が拡大している」(IDC)
地域別に見ると、特に大都市圏(東京都と他の関東地方、東海地方、近畿地方)で高い成長率を予測している。一方、その他の地域(北海道・東北地方、北陸・甲信越地方、中国・四国地方、九州・沖縄地方)は人口減少による経済の回復の遅れから、プラス成長ではあるが比較的小幅の成長にとどまるとしている。
ただし、九州・沖縄では、福岡市における大規模な再開発事業、熊本県菊陽町における大規模半導体生産拠点の設置などで、周辺地域の多くの企業でIT支出が拡大しているという。北海道・東北についても、札幌市、仙台市を中心とした周辺地域での再開発事業の活性化、北海道千歳市の半導体大規模生産拠点などでIT支出拡大を予測している。
IDCは今後、上記以外の地域でも再開発事業、大規模製造拠点の設置などによって、周辺地域の企業によってIT支出が拡大する可能性があると見ている。
「地域を問わず、多くの企業で人材不足への対策として業務効率化が喫緊の課題となっている。デジタルプロジェクトに加えて、既存システムのモダナイゼーションにかかるIT支出が堅調に拡大している。特に大都市圏では、多くの企業でデジタルに対する積極的なIT支出が見込まれる」(IDC)
その他の地域でも、デジタル推進、既存システム刷新、インフラのモダナイゼーションなどに着手する企業は増えているという。一方で、地域経済回復の遅れやIT人材の深刻な不足などを要因に停滞するケースもあるという。
「大都市圏の企業は、生産性向上を図るべくデジタル関連のIT支出に積極的である。また、デジタルの取り組みを円滑に行う目的で、既存システムの刷新やインフラモダナイゼーションに着手する企業が増えている。また、大都市圏以外でも、大企業などが中心となって同様の取り組みを開始している」(IDC)。同社は今後、小規模企業もこうした動きに追従すると見ている。
今回の発表は、同社のレポート「国内IT市場 地域別予測、2025年~2028年」に基づく。同市場の2024年の実績の推計と、2025年~2028年の予測を地域別に掲載している。