開発ツールベンダーのアンチパターンは2025年3月17日、SaaS事業者向け開発ツール「SaaSus Platform」に、Javaで開発したアプリケーションが備える機能を生成AIがAPI化して公開する「Smart API Gateway」を追加した。APIのエンドポイントを生成すると共に、APIの管理機能(APIキーの発行・管理、認証・認可、流量制御)を提供する。
アンチパターンの「SaaSus Platform」は、SaaS事業者向けの開発ツール/プラットフォームである。SaaSの運営に必要な共通機能(認証・認可、テナント管理、請求管理など)を、クラウドサービスと各言語(PHP、TypeScript、Java、Go、Python)向けSDK(ソフトウェア開発キット)として提供している(図1)。

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今回、Javaで開発したWebアプリケーションの機能をWeb API化して公開する「Smart API Gateway」を追加した。既存のJavaソースコードのうち、API化する部分を簡単な記述で指定してSaaSus Platformにアップロードすると、生成AIが指定部分の機能を自動でAPI化する(図2)。

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APIのエンドポイント(URL)の生成と共に、APIの管理機能(APIキーの発行・管理、認証・認可、流量制御)を提供する。APIの仕様や利用方法を記したドキュメントを合わせて生成してくれる。「APIの公開に必要な基盤機能を自動で生成することで、APIの構築・運用ノウハウを持っていなくてもAPIを公開できる」(同社)としている(図3)。

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APIを独自に実装して公開・運用する場合、各機能ごとに仕様を検討し、設計/実装していく必要がある。アンチパターンが想定する規模のケースでは、開発工数は約990時間に及ぶ(Java言語のフレームワークであるSpring bootを使用した際の同社による見積もり)。一方、Smart API Gateway機能を使って自動生成すると、60分で終わるという(図4)。

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表1のSmart API Gatewayの主なAPI管理機能である。SaaSus Platformの月額料金(税別)は、機能確認のための開発環境を提供する「フリー」プランは無料。運用のための本番環境まで提供するプランは3種類あり、テナント数や機能などが異なる。「スターター」は基本料金5500円に加えて、1ユーザー800円。「スタンダード」は10万円。SAML連携などが可能な「アドバンスド」は30万円となっている。
機能 | 概要 |
---|---|
APIキーの発行、管理 | ユーザーやテナントごとにAPIキーを発行して管理 |
認証機能 | APIキーで認証する。だれがどのAPIをコールしたかを識別できる |
認可機能 | ユーザーのロール(役割)に応じて利用可能なAPIエンドポイントやリソースを制御する。役割はSaaSusコンソールやSaaSus APIを介してカスタマイズ可能 |
スロットリング | エンドポイントごとにAPIコールのレート(頻度)を制御 |
ドキュメント自動生成 | APIの仕様を自動解析し、開発者向けに利用可能なドキュメントを生成 |
IP制御 | 特定のIPアドレスやIPレンジからのアクセスに限って許可 |