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「DX=データの民主化」を本懐に、全社に広がる古野電気のデータカルチャー

2025年5月8日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)

1948年に世界初の魚群探知機を実用化し、舶用電子機器に留まらず幅広い事業を展開する古野電気(本社:兵庫県西宮市)。2019年からデータの民主化を推進すべく、IT部の実行力・企画力向上に取り組むと共に組織カルチャーの改革を進めてきた。2025年3月7日に開催された「データマネジメント2025 」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)のセッションに、古野電気 IT部 部長の峯川和久氏が登壇。取り組みの経緯と実践、得られた成果を紹介した。

海上の超音波技術を起点に事業を幅広く展開

 1948年に魚群探知機を世界で初めて実用化した古野電気。現在は舶用電子機器を中心に、魚群探知機の独自技術を応用した気象観測システム、骨密度測定装置、GPS機器など幅広い事業を展開するグローバルメーカーである。海運ビジネス・大規模漁業拠点の中心である欧州のほか、中国、韓国、米国など世界80カ国以上に販売拠点を持っている(図1)。

図1:古野電気の事業領域(出典:古野電気) 
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データ活用こそがDX─SECIモデルを変革フレームワークに採用

 2019年に古野電気IT部 部長に就任した峯川和久氏(写真1)は、就任当初から「デジタルトランスフォーメーション(DX)とはデータ活用であり、データの民主化である」を掲げ、社内で発信を続けてきた。

写真1:古野電気 IT部 部長の峯川和久氏

 峯川氏は、有名な「SECIモデル」(注1)に、データ活用の取り組みを当てはめた図2を示した。SECIモデルは、2025年1月に逝去した一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏が提唱した、組織における知識創造プロセスを説明するフレームワークである。

 そのうえで、「DX=データの民主化」の根拠として、峯川氏は次のように述べた。「生成されたデータによって新しいものが構築され、新しいビジネスが生まれます。そこから新しいデータが生成され、新たな発見が得られるようになります。このサイクルをいかに継続的に回すかが企業発展に関わるカギになると考えています」。

注1:SECI(セキ)モデルは、組織が個人の知識・技能の暗黙知を組織的に管理しながら形式知にしていく知識創造プロセスの理論。名称は知識創造の4つの次元(Socialization:共同化、Externalization:表出化、Combination:連結化、Internalization:内面化)の頭文字を並べたもの。4つが共同化S→E→C→Iのサイクルで反復することで、組織の知識がスパイラル状に高まり、イノベーションが促進される。

図2:データ活用とSECIモデル(出典:古野電気)
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●Next:「5つのステップ」「ボトムアップ式」でデータ活用を全社に

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