アイ・ティ・アール(ITR)は2025年5月20日、国内のDDoS攻撃対策市場における規模の推移と予測を発表した。2023年度の売上金額は前年度比8.3%増の83億7000万円だった。2024年度は、引き続き需要が拡大し、同9.8%増の91億9000万円を予測している。メガクラウド事業者を中心に安価なDDoS攻撃対策サービスが提供され始めたことで、利用者層が幅広くなってきているという。
アイ・ティ・アール(ITR)は、国内のDDoS攻撃対策市場における規模の推移と予測を発表した。2023年度の売上金額は前年度比8.3%増の83億7000万円だった。2024年度は、引き続き需要が拡大し、同9.8%増の91億9000万円を予測している(図1)。

拡大画像表示
ITRは、政府機関や情報通信などの重要インフラ事業者を標的とした攻撃や、アプリケーション層を狙った攻撃の増加から、攻撃の凶悪化と大規模化が進んでいることを指摘している。「2024年末から2025年初頭にかけて、金融機関などにおいてDDoS攻撃が原因と見られるシステム障害が相次いだ。これを受け、企業の対策意識が高まった。DDoS攻撃対策製品を導入する企業や、対策の見直し・強化を進める企業が増えている」。
こうした動向から、同市場のCAGR(2023~2028年度)を8.6%、2028年度の市場規模を126.7億円と予測している。
同社コンサルティング・フェローの藤俊満氏によると、これまでのDDoS攻撃は、無差別にIPアドレスを順に攻撃していく事案が多かったが、最近は状況が変わり、特定の金融機関、グローバル企業、中央官庁などを標的に、金銭の奪取を目的とした攻撃が増えているという。
「メガクラウド事業者を中心に安価なDDoS攻撃対策サービスが提供され始めたことで、利用者層が幅広くなってきている。また、金銭奪取を目的とした標的型DDoS攻撃の増加により、対策の必要性に迫られる組織・企業が増えており、今後市場は大きく拡大していくと見られる」(藤氏)
今回の発表は、市場調査レポート「ITR Market View:サイバー・セキュリティ対策市場2025」に基づく。同レポートは、ファイアウォール/UTM、DDoS攻撃対策、WAF、Webフィルタリング、統合メールセキュリティ、SSL可視化、Webアプリケーション脆弱性管理など全9分野を対象に、国内48ベンダーへの調査から2022~2023年度売上実績および2028年度までの売上予測を掲載している。