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[市場動向]

「九州版ワット・ビット連携」に向けて分散型デジタルインフラ/DCを検証─九州電力、IIJなど5社

2025年9月26日(金)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

九州電力、インターネットイニシアティブ(IIJ)、QTnet、1FINITY、ノーチラス・テクノロジーズの5社は2025年9月24日、九州における分散型デジタルインフラの構築・検証プロジェクトを同年10月に開始すると発表した。「九州版ワット・ビット連携」の実現に向けて、九州地産の再生可能エネルギーを活用しつつ、分散したデータセンターを連携させたインフラの性能を測り、電力とIT処理の最適なバランスを検証する。

 九州電力、インターネットイニシアティブ(IIJ)、QTnet、1FINITY、ノーチラス・テクノロジーズの5社は、九州における分散型デジタルインフラの構築・検証を目的とした実証プロジェクトを2025年10月~2026年3月の期間で実施する。

 同プロジェクトでは、「九州版ワット・ビット連携」の実現に向けて、九州地産の再生可能エネルギーを活用しつつ、分散したデータセンターを連携させたインフラの性能を測り、電力とIT処理の最適なバランスを検証する。(図1)。

 ワット・ビット連携とは、電力インフラ(ワット)と情報通信インフラ(ビット)を一体的に整備・運用し、社会全体のエネルギー効率を最適化する取り組みのこと。生成AIの普及などで急増するデータセンターの電力需要への対応、カーボンニュートラル/脱炭素化、デジタル社会の発展を同時に実現させるべく、官民連携型で推進している。成果として、再生可能エネルギーの効率的な活用やデータセンターの首都圏集中の緩和、地域創生などを目指す。

図1:分散型デジタルインフラの構築・検証を目的とした実証プロジェクトの概要(出典:九州電力、インターネットイニシアティブ、QTnet、1FINITY、ノーチラス・テクノロジーズ)
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 九州の各拠点(当初は2拠点)に設置した複数の小規模データセンターをAPN(All-Photonics Network:全光ネットワーク)で接続し、1つの大規模システムとして機能させる。サーバーのNIC(ネットワークインタフェースカード)も、電気信号ではなく光信号を扱う光NICを用いる。光NICでシステムを直結することでネットワーク装置の台数を減らして省電力化を図る。

 プロジェクトでは、昼夜で発電状況が異なる地域のデータセンターを柔軟に使い分ける利用形態を想定して、分散処理の実効性を確認する。分散データベース技術として、ノーチラス・テクノロジーズの「劔”Tsurugi”」を用いて、処理性能や消費電力がどのように変化するかを検証する。APNについても、従来型の通信技術との比較を行う。

 加えて、別のデータセンターによるリモート環境のGPUによるローカルAI演算性能を検証する。この検証では、TsurugiのMCP(Model Context Protocol)サーバーを介して、自然言語によるデータ処理のシミュレーションを実施する(関連記事ノーチラス、国産RDB「劔」のMCPサーバーを公開、LLMを介して自然言語でDBを操作)。

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