[調査・レポート]
プロダクトチームの8割超が市場での成功に不安、戦略に与える影響も大きい─アトラシアン調査
2025年9月24日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
アトラシアンは2025年9月24日、企業に属するプロダクト(製品)担当の実態を調査した結果を発表した。これによると、プロダクトチームの84%は、現在取り組んでいる製品が市場で成功しないことを懸念している。調査結果は、年次調査レポート「State of Product 2026」にまとめて公開している。
豪アトラシアン(Atlassian)は、米国・ドイツ・フランスの大手企業(従業員数500人以上)に勤務するプロダクト(製品)マネージャおよびプロダクトチームのリーダー700人を対象に、プロダクトチームの現状と課題を調査した。調査結果は、年次調査レポート「State of Product 2026」にまとめて公開している。
調査の対象となる「プロダクトチーム」は、単なるソフトウェア開発部門ではない。「ユーザーに価値を届ける製品やサービスを継続的に生み出すことを目的に、エンジニア、デザイナー、マーケターなど、それぞれの専門性を持つメンバーが自律的に協働するチーム」(アトラシアン)を指している。
8割超が市場成功に不安、一方で戦略への影響力も大きい
調査によると、プロダクトチームの84%は、「自社プロダクトの市場での成功」に不安を感じている(図1)。27%は非常に懸念しており、57%はやや懸念している。「変化の激しい環境下で、どのように成功を収めるべきか悩むチームが多い」(アトラシアン)としている。

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一方、プロダクトチームの約半数(52%)は、戦略やイノベーションを主導する権限を持つ(図2)。また、主導はしないものの、戦略に影響を与える力があると感じているチームは33%いる。これらを合わせ、85%が製品戦略に影響を与えている。

他チームとの協業においても、プロダクトチームは主導的な役割を果たす(図3)。プロダクトチームが先導する(47%)ケースと、他チームと同等の影響力を持っている(43%)ケースを合わせると、90%を占める。

エンジニアの早期参加が鍵、半数が初期段階から関与
エンジニアが開発に関与する時期については、52%が「アイデア創出の初期段階」(20%)または「初期のコンセプト検証期間中」(32%)と回答(図4)。エンジニアが初期段階から参加すると、実装の難易度や必要なリソース、既存システムとの整合性などを早い段階で把握でき、後戻りや手戻りが減る。また、エンジニア自身が主体的に開発に取り組む姿勢が強まる。

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やりがいと現実のギャップ、現状維持業務に追われる実態
プロダクトマネージャの90%は、「現在の自分の仕事が、この分野に惹かれた原点に合致している」と回答した(図5)。49%は現在の仕事全般に当てはまるとしており、41%は他の業務にも時間を割く一方で大半は当初の魅力を感じさせる仕事に時間を費やしている。

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また、プロダクトマネージャは、協働的な問題解決の仕事にやりがいを感じている(図6)。部門横断チームとの連携(50%)、創造的な問題解決(47%)、ユーザーインサイトの獲得(46%)、イノベーション推進(44%)、戦略・ビジョンの策定(41%)などである。

一方、プロダクトチームは、現状維持に追われている。プロダクトマネージャにとって最も重要な課題を聞いたところ、複数プロジェクトや競合する優先事項、チームのキャパシティのバランス調整、どの機能や施策に注力すべきかの優先順位付け、などが挙がった(図7)。

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