[事例ニュース]
北海道の田中組、施工管理アプリ「eYACHO」を導入して現場作業を効率化、1人あたり月20時間の削減効果
2026年3月3日(火)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
北海道を中心とする地場ゼネコンの田中組(本社:北海道札幌市)は、現場作業の効率化とペーパーレス化に向けて、タブレットで利用する施工管理アプリケーションを導入した。MetaMoJiの“デジタル野帳”アプリ「eYACHO」を採用。1人あたりの作業時間を月20時間程度削減したほか、印刷枚数の半減によるコスト削減効果を得た。MetaMoJiが2026年2月25日に発表した。
田中組は、北海道札幌市に本社を置く総合建設会社。1902(明治35年)の創業以来、120年以上にわたって道内を中心に土木・建築・不動産を手がけてきた地場ゼネコンである。
同社は2022年に建設DX推進室を立ち上げ、建設現場における作業効率の向上や、大量の紙資料の削減によるペーパーレス化など、現場目線に立った業務デジタル化に着手した。その一環で全職員に1人1台、アップルのタブレットデバイス「iPad」を配布。しかし、現場の職員にとってタブレットの活用は慣れないもので、1年後もケースから出したことがないという職員が多かったという。
写真1:iPadで動作する建設現場向けメモ帳アプリケーション「eYACHO」の利用イメージ(出典:MetaMoJi)拡大画像表示
そこで、建設現場の業務を効率化するツールとしてタブレットを活用してもらうため、MetaMoJi(メタモジ)が提供する施工管理アプリ「eYACHO」の導入を決定した。“デジタル野帳(注1)”をうたうeYACHOは、タブレットで紙のような手書き操作を可能にし、図面の確認・書き込み、写真・動画による現場記録、日報作成、情報共有を一元化し、現場のペーパーレス化と業務効率化を促進する。
注1:野帳(やちょう、Field Notebook)は、屋外での調査や測量データをその場で記録するために設計された、コンパクトで高耐久な小型ノートのこと。
導入にあたっては、iPad導入時の反省を踏まえ、最初から全社展開するのではなく、DX推進に前向きな2つの現場での試験導入からスモールスタートを切った(写真1)。
まずは「安全パトロール点検表」に絞って利用を始めた(図1)。書類作成・押印・郵送・ファイリングに時間がかかっていたからである。試験導入後のアンケートでは現場職員の6割以上から「すぐ使いたい」という回答があり、土木部全体での導入を決めた。
図1:「安全パトロール点検表」をeYACHOで電子化することによる業務フローの変化(出典:MetaMoJi)拡大画像表示
導入後は、安全パトロール点検表だけでなく、各種の業務で使っている。「当日の作業内容や作業人数などを書く日報の作成、PDF図面の現場での確認、写真管理、KY(危険予知)用紙の作成・共有などに活用している(田中組)。
帳票を使いやすくカスタマイズすることにも注力している。「現場の温度を記録する際に、数値を毎回入力することなく、矢印をクリック・タップするだけで入力できるようにした。カスタマイズにあたっては、職員の世代を問わず使いやすいものにすることを重視している」(田中組)。
また、現場への定着化を促す教育体制として、ビジネスチャット「LINE WORKS」の掲示板を活用した独自の動画マニュアルの公開や、eYACHOの活用法を学べる教育プラットフォーム「田中組アカデミー」の運用にも取り組み、業務に必要な知識を個々のペースで習得できる環境を整備している。さらに、ペーパーレス化を促進するため、印刷削減枚数をポイント化して電子マネーに交換できる「TNKポイント」制度を導入し、社員の意識改革を促す施策も実施した。
これらの取り組みが奏功し、現在、土木部でのeYACHOの使用率は100%で、現場職員だけでなく内勤職員も利用するなど、システムが全社に根づき、生産性向上に貢献している。
効果として、1人あたりの作業時間は月に20時間程度まで削減された。また、ペーパーレス化が促進されたことで、1つの現場における月間の印刷枚数は平均2000枚から1000枚以下に半減し、年間で数百万円規模のコスト削減効果が得られたとしている。
田中組は今後、eYACHOの活用を社内全体へと広げると共に、蓄積されたデータの活用を強化し、データドリブンな意思決定ができる環境の構築を目指すとしている。
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