[事例ニュース]
星野リゾート・アセットマネジメント、全社員のPCに秘密分散ストレージを導入、運用コストを6分の1に
2026年3月4日(水)IT Leaders編集部、日川 佳三
星野リゾートの資産運用子会社、星野リゾート・アセットマネジメント(本社:東京都中央区)は、全社員のPCに秘密分散技術を用いた情報漏洩対策ストレージサービス「ZENMU Virtual Drive」を導入した。従来のVDI(デスクトップ仮想化基盤)環境から「セキュアFATクライアント」へ移行することで、セキュリティを維持しながら運用コストを6分の1に削減した。ZenmuTechが2026年3月3日に発表した。
星野リゾート・アセットマネジメントは、不動産投資や資産運用を行う、星野リゾートグループの100%出資子会社である。グループの「所有」と「運営」の分離戦略に基づき、安定した施設運営に貢献している。
金融商品を扱う同社では、金融庁が定める各種規定・ガイドラインに則った厳格なセキュリティ対策を講じている。コロナ禍だった2021~2022年には、社員のPCを、クラウド稼働のVDI(デスクトップ仮想化基盤)をベースにしたシンクライアントに切り替え、リモートワーク下の情報漏洩対策を強化した。
しかし、VDI環境は同社のワークスタイルに合わなかった。全国各地の不動産物件に赴いて業務にあたる社員の場合、ネットワークの接続が不安定な遠隔地では画面転送の遅延などにより「業務が滞る、止まる」といった問題が頻発していた。また、カメラやマイクの接続に制限があり、Web会議を実施する際にはVDI環境外のネットワークを別途使う必要があるなど、利便性の面でも課題を抱えていた。加えて、運用に伴うコストが高止まりしていることも問題視されていたという。
こうした経緯から、PCにデータを持たない状態を確保しつつ、オフラインでも業務を滞りなく処理できる環境を検討。その結果、ZenmuTechの情報漏洩対策ストレージサービス「ZENMU Virtual Drive」を採用し、VDIに代わる「セキュアFATクライアント」として全社員約80人のPCに導入することにした。選定にあたって同社は、VDIと同等の情報漏洩対策を実現しつつ、オフラインでの業務継続を可能にする利便性と、従来環境と比較して大幅なコスト削減が期待できる点を評価している。
ZENMU Virtual Driveは、Windows PCの仮想ドライブにデータを保存すると、ファイルを2つに分割し、1片をPCの内蔵ディスクに、もう1片を専用のクラウドストレージ(ZENMUクラウドサービス)やUSBメモリー/iPhoneなどの外部ストレージに分散保管する仕組みを持つ。両方が揃わないとデータを読み取れないので、1片が漏洩しても情報は漏洩しない。また、管理者が遠隔でロックすることで、PCのデータへのアクセスを不能な状態にでき、万が一PCを紛失・盗難にあっても情報漏洩を防ぐことができる(図1)。
クラウドサービスなのでサーバー構築が不要なほか、業務処理にはPC側のリソースを利用するため、ネットワーク環境の影響を受けずにスムーズな操作が可能になる(関連記事:秘密分散ストレージ「ZENMU Virtual Drive」、分散片をスマートリングに保存可能に─ZenmuTech)。
図1:セキュアFATクライアント「ZENMU Virtual Drive」の概要(出典:ZenmuTech)拡大画像表示
同サービスについて、星野リゾート・アセットマネジメント 経営企画本部の高本智之氏は、「意味あるデータがどこにも残らない実質的なデータレスの状態になり、ネットワークが切れたオフライン状態でもローカルディスクとスマートフォンで業務を継続できる。外部ストレージに保存する分散片は小さく、ネットワークや端末の性能に影響を与えることもほぼない」と評価する。
2024年6月に、VDI環境からの移行作業を始め、PoC(概念検証)を経た同年11月に本番運用を開始。運用コストを従来の6分の1に削減できた。
「以前はネットワークに関する問い合わせが頻繁にあり、対応に1日平均20分程度の時間を割いていた」(高本氏)が、それもなくなった。また、オフライン環境でもシームレスに業務継続が可能になり、社員の生産性が向上。課題であったWeb会議の運用も容易になり、リモート間での情報共有や意思疎通が効率化されたという。
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