生成AI時代を支える「データアーキテクチャ」の現在地、データメッシュ・ファブリックの検討も急伸:第2回
2026年4月2日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)
生成AIの活用は“関心・試行”から、自社データと連携させて実業務に組み込む“実装”フェーズへと移行している。特にRAG(検索拡張生成)などの手法が注目される中、活用の成否を分けるカギとして、非構造化データの整備やガバナンスといったデータマネジメントの重要性が再認識されている。2026年1月刊行の調査レポート『生成AI時代のデータマネジメント調査報告書2026』(インプレス刊)では、データ品質やマスターデータ管理、データ連携/統合、生成AI活用、推進体制/人材育成など、多様な観点から国内企業の取り組みの実態を明らかにしている。本連載では、3回にわたって調査結果の一部を紹介し、データマネジメントの現在地を把握すると共に、活動のあり方を考察する。

生成AIの活用が「試行」から実業務への「実装」へと進む中、その基盤となるデータマネジメントの重要性がかつてなく高まっている。第1回では、企業内データ連携による生成AI活用の進捗や、最大の壁となる非構造化データの整備課題について解説した。
第2回となる本稿では、社内に散在するデータを体系的に管理するための「データアーキテクチャ」や「データモデリング」の策定状況、さらには次世代のデータ管理手法として関心を集める「データメッシュ」や「データファブリック」への取り組みの実態について、最新の調査結果から紐解いていく。
データアーキテクチャ策定は「未着手」が約6割も、取り組みは着実に加速
企業が生成AIを用いて精度の高い回答や業務上の示唆を得るためには、AIに質の高いデータを供給し続ける仕組みが必要となる。その大前提となるのが、社内に散在する様々なデータを可視化し、体系的に管理するための「都市計画(マスタープラン)」とも言える「データアーキテクチャ」の存在だ。
しかし、データアーキテクチャの策定状況について聞いたところ、「策定の必要性は認識しているが、現時点では着手していない」が29.7%で最多となり、「着手していない」(28.9%)と合わせると、全体で約58.6%の企業が未着手または検討中の段階に留まっていることが分かった(図1)。
図1:データアーキテクチャの策定状況(出典:インプレス『生成AI時代のデータマネジメント調査報告書2026』)拡大画像表示
一方で、前年の調査結果と比較すると前向きな変化も見て取れる。「策定を計画または着手している」企業は、2024年調査の8.8%から2025年調査では18.1%へと倍増しており、未着手の割合は減少傾向にある。生成AI活用の本格化に伴い、全体設計図の必要性に気づき、行動を起こし始める企業が着実に増えていると言えるだろう。
また、データアーキテクチャ策定にあたってのIT部門以外の関与状況(策定済みの企業が対象)を見ると、「事業部門のメンバーが作成に関与している」(44.6%)、「事業部門の責任者が作成に関与している」(43.2%)と、ビジネス側の積極的な参画が目立つ。
「事業部門は関与せず、IT部門だけで作成している」企業も35.1%存在するものの、データを実業務で活用するために、現場のドメイン知識を持つ事業部門との協働が重要視されていることがうかがえる(図2)。
図2:データアーキテクチャの作成にあたってのIT部門以外の関与(出典:インプレス『生成AI時代のデータマネジメント調査報告書2026』)拡大画像表示
データモデリングは「システム開発」と「ビジネスの見える化」の両輪へ
データアーキテクチャという大きな都市計画の中で、一つひとつの建物(データ)の構造や相互関係を緻密に定義する「基礎設計図」の役割を果たすのが「データモデリング」である。
その実施状況を見ると、「データモデリングは実施していない」企業が46.3%と依然として半数近くを占めている。ただし、こちらも2024年の50.1%からは減少しており、実施率は緩やかながら向上している(図3)。自社で実施している企業の内訳は、「IT部門と事業部門が共同で実施」(13.4%)、「IT部門で実施」(12.7%)、「事業部門で実施」(9.6%)と多様なアプローチがとられている。
図3:データモデリングの実施状況(出典:インプレス『生成AI時代のデータマネジメント調査報告書2026』)拡大画像表示
●Next:変化するデータモデリングの位置づけ
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