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[市場動向]

商船三井と日立、中古船を改造した浮体式データセンターの開発で合意、2027年以降の稼働目指す

2026年3月31日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

商船三井、日立製作所、日立システムズの3社は2026年3月30日、中古船を改造した浮体式データセンターの開発・運用・商用化に向けた基本合意書を締結したと発表した。2027年以降の稼働開始を見据え、需要検証や基本仕様・運用手順の検討、事業化に向けた検証を進める。

 商船三井、日立製作所、日立システムズの3社は、中古船を改造した浮体式データセンター(Floating Data Center:FDC)の開発・運用・商用化に向けた基本合意書を締結した。2027年以降の稼働開始を見据え、需要検証、基本仕様や運用手順の検討、事業化に向けた検証を行う(図1)。

図1:中古船を改造した浮体式データセンターのイメージ図(出典:商船三井、日立製作所、日立システムズ)
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 背景には、生成AIの普及にともなうデータセンター需要の拡大がある。立地や電力・冷却に使用する水資源の確保、周辺インフラ、災害リスクなどを踏まえた多様な供給形態がデータセンターに求められている。

 こうした中、中古船を改造したFDCは、大規模な用地確保が不要で、短工期かつ移設可能、さらに既存船体の再利用によって環境負荷とコストを抑えられる選択肢である。3社はそれぞれの実績・知見・ノウハウを活かし、商用化に向けた検証を進める。

 役割分担として、商船三井は船舶改造の企画・推進、港湾当局との協議主導、係留・保守などの海上運用要件整理、資金調達スキームの検討などを担う。日立製作所と日立システムズは、データセンターの設計・建設・運用に関する技術検討、ITインフラ要件の定義、顧客の開拓と顧客要件の整理などを担当する。

陸上型に比べ用地不要・短工期・移設可能などのメリット

 陸上建屋型データセンターと比較した主なメリットの1つは、大規模な用地確保と土地取得費用が不要なこと。大都市近郊ではデータセンター向けの大規模用地の確保が難しく、電力・冷却用水の確保や環境規制・住民合意といったインフラ整備が追いつかずに新規建設の停止が議論されている都市もある。FDCは港湾や河川を利用するため、こうした地域でも展開できる可能性がある。

 建設期間の短縮もメリットである。中古船をFDCに改造する工事は1年程度で完了し、陸上建屋型データセンターの開発と比べて最大3年の短縮が見込めるという。また、浮体式であるため、需要の変化に応じて稼働場所を変更することも可能である。

 海水・河川水を活用できることから、水冷式の冷却システムも導入しやすい。データセンターの冷却システムは、AI向け高性能サーバーの需要拡大などを背景に空冷式から水冷式へのシフトが進んでいる。一方、米国では水不足を懸念した住民との対立が生じている地域もある。FDCであれば海水や河川の水を効率よく冷却に活用でき、冷却にかかる電力消費と運用コストの削減も期待できる。

 中古船をベースとすることで、既存船体や船内システム(空調・取水・発電機など)を活用でき、初期投資コストを抑えられる点も利点である。スペースも広く、自動車運搬船では床面積が約5万4000平方メートルに上り、延べ床面積ベースで日本最大級の陸上データセンターに匹敵するという。

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